
40日ぶりに自宅に戻った主婦は、変わり果てた我が家を前に立ち尽くした。=3月9日、パレスチナ・ジェニン 撮影:田中龍作=
3月はパレスチナ、ポーランド、トルコと駆け巡り、4月はトルコで大量に浴びた催涙ガスの後遺症でほぼ寝たきりとなっていました。
今回の紛争地取材は一見地味でしたが、田中龍作ジャーナルは新聞テレビが報道しない事実を伝えることができました。
【パレスチナ取材】
ガザばかりではない。ウエストバンクでもエスニック・クレンジング(民族浄化)が本格化していた。
イスラエル軍はパレスチナ住民を難民キャンプから銃と戦車で追い出し、キャンプは跡形も残らないまでに破壊する。「帰還は認めない」というが、帰還しようにも帰還できない。
パレスチナでは21世紀のディアスポラが始まっていた。
【ポーランド取材】
第2次世界大戦でソ連(現ロシア)から侵略された歴史を持つポーランドは、現在ウクライナで起きていることが他人事とは思えない。
86年前、ソ連(現ロシア)軍は「白ロシア住民の保護」を名目にポーランドになだれ込んできた。どこかで聞いたセリフではないだろうか。
国境で地雷を敷設しロシアの侵攻に備える。タクシー運転手は「プーチンは必ず攻めてくる」と語った。

デモに参加した女性は催涙ガスを浴び痙攣を起こしていた。化学兵器特有の症状である。田中も浴びた。=3月23日深夜、イスタンブール市役所そば 撮影:田中龍作=
【トルコ取材】
最大野党CHPのオスギュル党首は大衆に不人気で、独裁者のエルドアン大統領とは裏でチンチンの関係にある。
エルドアン大統領は次期大統領選で最大のライバルとなるイスタンブール市長を汚職で逮捕し、他市職員や言論人など約100人を拘束した。
若者たちは独裁打倒を叫び決死の覚悟で立ち上がった。デモには大勢の市民も繰り込んだ。イスタンブール市役所前が主戦場となった。
韓国の朴槿大統領を退陣に追い込んだデモに匹敵するほどの人口密度と熱気となった。
デモがさらに盛り上がろうという時・・・CHPのウズギュル党首が主戦場であるイスタンブール市役所前の放棄を呼びかけたのだ。独裁政権転覆の熱気は急速にしぼんでいった。
最大野党の党首が不人気。裏で政権党とつながる。東アジアのどこかの国とよく似ているではないか。
茶番は悲劇である。これを壊さない限り独裁と腐敗は永遠に続く。トルコにいながら日本の現状を取材しているようであった。
■出費
●飛行機代
成田⇔ワルシャワ/ワルシャワ⇔テルアビブ/ワルシャワ⇔成田
・・・計49万2千円
●ホテル代
計25泊 53万2千500円
●ドライバー、フィクサー(通訳・コーディネーター)
計16回出動 ●70万5千円
渡航費・取材費合計
172万9,500円
●4月は催涙ガスの後遺症で寝たきりのような状態だったため、屋外取材には出ておりません。したがって経費はゼロ円です。
■皆様からお寄せ頂いた支援金
69万円7千983円
-以上3月・4月の会計報告です。大赤字となりました。