
暗殺現場を固めるレバノン政府軍。=日本時間24日零時50分頃、ベイルート郊外 撮影:田中龍作=
スパイ映画を地で行くようなイスラエル軍の暗殺劇だった。007だってこんな精緻な殺しはできまい。
現場はベイルート市郊外の高級住宅街でキリスト教徒の居住地域だ。日本時間の23日23時、マンションの4階にイスラエル軍の超精密ミサイルが飛び込んだ。
ベッドルームにいたイラン人のサデック・クラーニ氏がミサイルの餌食となった。氏は革命防衛隊との見方が有力だ。
キッチンにいた妻と娘は無事だった。

ミサイルが飛び込んだマンション。4階の電気が消えている部屋。=日本時間24日2時45分頃、ベイルート郊外 撮影:田中龍作=
マンションはレバノン人の妻名義で6週間前に借りた。殺害されたサデック氏がマンションに着いたのは、殺されるわずか1時間前だ。
話は氏の暗殺だけに留まらない。マンションの同じ階にはジョセフ・アウン大統領の息子が住んでいて、ひとつ下の3階には大統領の妻の姉妹が暮らす。革命防衛隊を始末し、大統領への脅しにもなる。一石二鳥だ。
イスラエルは常々アウン大統領に「ヒズボラを武装解除せよ」と無理難題を要求している。「早くしろ」という強烈なプレッシャーなのだができない相談だ。
現場周辺は治安機関で働く要員で固めている。どうしてサデック氏の妻が身元調査を潜り抜けたのか。レバノン政府当局の衝撃は測りしれない。

ミサイルがヒットしたフロアの下には大統領の妻の姉妹が住んでいる。=日本時間24日2時45分頃、ベイルート郊外 撮影:田中龍作=
~終わり~
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いとも簡単に人を殺すのが戦争です。独裁者の胸三寸で発動されます。
田中龍作ジャーナルは日本の新聞テレビが報道しない戦争の冷酷無比を伝えます。

















