
チャベス廟とスラム。チャベス中佐は軍事クーデターを試みたが失敗、投獄された。その記念日が『4F』。1992年2月4日である。=18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=
丘の斜面に貼り付くようにしてスラムがひしめき合う。計測不可能なほど夥しい戸数である。
丘の頂上にあるのはチャベス廟だ。チャベス元大統領の骨が納められている。廟はキューバ兵が警護する。
1998年、軍人(陸軍中佐)出身のチャベスは、権力を掌握するとスラムの住民たちに武器を与えた。コレクティーボと呼ばれる民兵組織の起源だ。
コレクティーボは警察以上に恐ろしい武装組織として市民を震えあがらせる。街頭で携帯電話を検閲し、反政府のコメントを発見しようものなら、収容所送りにする。
米軍がカリブ海に空母打撃群を展開させていた頃、マドゥロ大統領(当時)が新たな民兵を募ったが、彼らもこのスラムに住む。当然武装している。
今月3日(現地時間)、ベネズエラに侵攻した米軍は空軍基地などの軍事施設の他、マドゥロ廟の周辺2カ所を爆撃した。しかし廟と同じエリアにあるスラムは外した。

「革命的コレクティーボ戦線」。恐怖の民兵組織の名前がスラムの入り口に当たり前のように書かれていた。=18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=
自らも貧困層出身で飢えたる人々のためにクーデターを起こして立ち上がり、投獄されながらもプロレタリアート革命を成し遂げたチャベス。貧富の差が大きいベネズエラにあって国民には根強い人気がある。
チャベス廟の裾のスラムだけではなく国内の大型スラムにも武器は行き渡っているようだ。ベネズエラに貧困がある限り市民の武装化は避けられないのだ。

スラム街。カメラのフレームに納まりきれないほど巨大だ。=18日、カラカス市内 撮影:田中龍作=
トランプ政権は、マドゥロ大統領と共にロドリゲス副大統領とカベジョ内相兼法務大臣も拘束連行する計画だった。2人とも恐怖支配の実務を中心で担っていたからだ。
だがチャベス支持者たちを抑え、支持者ではない反米層をも抑えるには、2人の強権支配術が必要だ。温存した2人には権力の甘い汁を吸わせる。
石油と軍事において中国とロシアの影響力を排除するには、まずはベネズエラ国民を抑えなければならない。トランプの苦肉の策と言えよう。
~終わり~
◇
グリーンランドをめぐって、同じNATO加盟国内で軍事衝突さえ懸念されるなか―
日米同盟なんて屁のツッパリにもならなくなる。
田中はつい先日までトランプに軍事侵攻されそうになったコロンビアで取材を続けていました。このコロンビアだってコテコテの親米国家だったのです。
予測不能なまでに激動する世界の情勢を、田中龍作に伝えさせて下さい。
カードをこすりまくって南米に来ています。御支援何とぞ御願い申し上げます。

















