『当店スタッフが当店の利用にそぐはない【不衛生、ホームレス等】と判断した方の客席および当店の利用をお断わりさせて頂きます』
マクドナルド京王八王子店にこんな貼り紙が出ているとツイッターで知り、早速確かめに行った。ご覧のように貼り紙は実在した(25日夕刻時点)。“ぎょっ”とした私は貼り紙をした理由を店に聞いた。
「一時はこういう事(ホームレスの利用)が多かったのでこういうご案内を店舗としてさせて頂きまして、貼り紙をさせていただいたという事です」。男性のベテラン店員が出てきて説明した。あくまでも店個別の対応ということだった。
「追い返すのか?」と聞くと「ほかのお客様のご迷惑になるような行為やその他の要素があった場合は、ということです」と店員は答えた。
筆者はホームレスが多い下町のマクドナルドを覗いて来たが、京王八王子店のような貼り紙はなかった。
コーヒー一杯100円で長時間くつろげるマクドナルドは、貧民にとってオアシスだ。大きなバッグを傍らに置いたまま、テーブルにうつ伏せになりこん睡する。ネットカフェに宿泊するカネも尽きたのだろう。
別の店だが、知人のホームレスも「マクドはよく利用する」と話していた。
本記事の掲載に先立って事態をツイートしたところ、多くのレスポンスが寄せられた。賛否の代表例を紹介する―
@kj50stormsさん:
「ホームレスお断り」という貼り紙をしているのは、今までにホームレスのお客様による迷惑行為があったか、他のお客様からホームレスについて苦情があったのでは?そのような理由もなしにお断りすることはないと思います。私も飲食業なので、そう思います。
@Bloomania0417さん:
「ホームレスお断り」は飲食店として当然のコトだろう。何ヶ月も風呂に入っていないホームレスが店内に入ってきたら 数メートル離れている距離でも吐気を催す異臭がするんだぞ?そんなのが来店するような飲食店に誰が行くんだ?店も客を選ぶ権利がある。差別ではない。
@Darkpbs77さん:
何か変な世の中になって来ていますね!人の人情も、何もかもが失われ地獄の世の中が到来している感じです。こんな世の中が長続きする筈が有りません。何時しか、とんでもない報いを受ける事態が到来するでしょう!
tendo @nobuhuraさん:
心の中で想うのと実際口に出す(貼り出す)のとでは犯罪を空想するのと実行するのに等しい差がある。まさにコーポラティズム社会到来の感あり。
ホームレスの住宅支援をしているNPO法人「もやい」の稲葉剛代表理事は次のように語る。「マック難民という言葉があるくらい、家のない人でマクドナルドを利用する人は多い。ホームレスと明記しているのであれば、家のない人は(店に)入れないことになる。排除するのは人権侵害と言わざるをえない」。
「ネカフェ難民」「マック難民」は、店側にとってもお粗末な行政のしわ寄せを喰らった格好だ。行政がセーフティネットを用意していないために、彼らは「100円のセーフティネット」を利用するのである。これから寒い季節を迎える。空き家の公営住宅、公民館(区民センター)の開放など救済策を打てないものか。
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