「デモに参加すると顔写真を撮られて公園に入れなくなるので、先に公園を見ておこうと思った」。東京都西部から訪れた男性は、苦笑しながら言った。
これが渋谷区立宮下公園の置かれた現状だ。誰もが気兼ねすることなく24時間利用できるはずの公園を事実上支配するのは、デベロッパーの三井不動産だ。
先月、野宿者と支援者たちが食事のために宮下公園に入ろうとしたところ、ガードマンらから実力で阻止される“事件”があった。
宮下公園は今年6月からブランドショップやレストラン、ホテルなどが入った商業施設に変身し、公園部分は申し訳程度に最上階に置かれた。
このため商業施設を管理する三井不動産が幅を利かすのである。
公園に入ることを阻止された一行は、公園の元来の所有者である渋谷区公園課に激しく抗議し、事実経過も交えてSNSで拡散した。
今夕(13日)、野宿者と支援者たちは、食事を摂るために再び宮下公園を目指した。人間として当然の権利を行使するためだ。
前回の抗議が利いたのだろうか。今回は公園に入れた。
ただし夥しい数のガードマン、公園管理のスタッフ、警察官に取り囲まれながら、である。公園管理のスタッフは参加者の写真を撮りまくった。
それでも、一行はジャーに詰めて来たご飯をパックによそい、おかずを乗せて食べた。
ひと儲けしたい業者と行政が結託して、公園を商業施設にする・・・これはどうやらトレンド入りしそうだ。
「公園で食事をする」・・・ごく当たり前のことをするのに、ひと苦労する国になってしまうのだろうか。
~終わり~