
イスラエル軍の爆撃。=5日、ベイルート郊外 撮影:田中龍作=
イスラエルは5日、ヒズボラの最重要拠点ダヒアとその周辺8カ所に爆撃を加えた。午後6時までの死者は7人、負傷者は39人。
けたたましいサイレン音と共に救急車が「ラフィック・ハリーリ」病院に到着すると、遺体や手足を失った負傷者が運び込まれた。前首相の名前を冠した大規模救急病院である。
救急入口にはトリアージ(命の選別)の受付カウンターも登場した。手術着をまとった医師や看護師たちは、悲愴な表情で次の救急車の到着を待った。
夫をイスラエルに殺された妻、父を殺された娘は泣き叫ぶ。

ラフィック・ハリーリ病院正門。救急搬入口ではない。=5日、ジュネ市 撮影:田中龍作=
ラフィック・ハリーリ病院の前の住宅も爆撃された。田中が現場に着いた時は、熱い煙が立ち込めていた。防塵マスクを着用した救急隊員たちが、生存者の捜索と救出にあたっている。
屈強なヒズボラ戦闘員たちがカラシニコフAK47を手に警戒にあたっていた。ヒズボラ幹部が暗殺されたことを窺わせた。
「イスラエル軍よ。ダブルタップで救急隊員を殺害することだけはしないでくれよ」と田中は心の中で叫んでいた。
ヒズボラのセキュリティー要員たちがモーターバイクで街中を駆け回った。バイクの数は百台にのぼるだろうか。『イスラエルのスパイが偵察に来ていないか』…特有の猜疑心と警戒心が彼らを殺気立たせていた。カラシニコフの連射音があちこちから聞こえた。まさに蜂の巣を突いたような騒ぎである。

爆撃に遭った家屋。ヒズボラ幹部の居宅と見られる。=5日、ジュネ市 撮影:田中龍作=
ヒズボラの最重要拠点とはいえ、爆撃すれば無辜の住民が巻き込まれ、多くの命が奪われる。非戦闘員を巻き込むのが戦争の常とはいえ、家族は耐えられない。
病院関係者、地元住民、軍関係者の誰に尋ねても写真撮影は不可だった。撮影を強行すればヒズボラに突き出されることは必定だ。
阿鼻叫喚の地獄をワンカットも読者にお見せできない。もどかしくて屈辱的な取材だった。
~終わり~
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【読者の皆様】
いつにも増して迫力のない写真で申し訳ございません。レバノン取材はヒズボラの監視との戦いです。
イスラエル軍の爆撃は怖くありませんが、ヒズボラに拘束されることだけは避けたく思っております。

















