バイデン政権がロシアまで届く長距離ミサイルの使用をウクライナに許可すると、プーチン大統領は核の使用基準を大幅に緩和した。
バイデンの最後っ屁にプーチンが応戦した格好だ。別段驚きはしないが、気になる動きが北ヨーロッパであった。
スウェーデンとフィンランド両政府が18日、軍事衝突が起きた際の通信障害や停電などを解説したパンフレットを国民に配布した。「医薬品と食料を備蓄しておくように」と呼びかけている。
戦争が始まると途端に物資の供給がストップする。医薬品と食料品は死活に関わる。冬季の停電は凍死さえ招く。停電するとネットも止まる。
ロシアがウクライナに本格侵攻してきた2022年2月24日の朝を忘れることができない。道路は西(ロシアと反対方向)に脱出を図る車で渋滞した。ATMには長蛇の列ができた。
一方で商店という商店は、すべてシャッターを閉ざした。
空腹に襲われようが、病に苦しもうが、なす術はない。田中は水とパンを備蓄し、持病の薬を多めに日本から持ち込んだ。それでも酷い風邪をひき、抗生剤が足りなくなった。
熱は下がらず、激しい咳き込みが続いた。コロナだったのかもしれない。この時の恐怖はいまだ忘れることができない。
ロシアはエネルギー関連施設を集中的に攻撃してくるため、停電は日常茶飯事だった。ネットも止まった。
スウェーデンとフィンランド両国はロシアの脅威にさらされてきた。ウクライナ戦争を受けてNATOに駆け込んだのは道理である。
フィンランドはロシアと国境を接し、スウェーデンはロシアの飛び地のカリーニングラードとバルト海を挟んで対峙する。
その両政府が戦争に対する備えを国民に呼び掛けたのである。過剰反応してはいけないが、侮ってもいけない。
戦争は瞬時に始まる。
~終わり~
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田中龍作は、日本にとって決して対岸の火事とは言えない戦争の実相を、一早く現地に飛んで伝えます。
戦地取材は個人では支えきれないほど莫大な費用がかかります。御支援何とぞ御願い申し上げます。