
炊き出しに正社員が並ぶことも珍しくなくなった。=都内 撮影:田中龍作=
昨年1年で89万人も人口が減少した(総務省発表)。減少数、減少率とも過去最大という。
人口が減って当たり前だ。子供を産もうにも、その前提としての結婚さえできない。
労働法制の緩和に次ぐ緩和で、骨を軋ませるようにして働いても食べて家賃を払って行くのが難しい。
炊き出しの列に35歳の正社員が並ぶご時世である。彼は「家賃と光熱費を払ったら給料だけでは食べて行けないから」と語った。
田中家は子供を作れなかった。親子3人で野垂れ死ぬかもしれない、と思ったからだ。
ピント外れな少子化対策に年3.6兆円も使う余裕があったら、もっと安価な公営住宅を確保すべきである。

「労働者の生き血を吸う派遣業…」のプラカードがパソナ本社前に掲げられた。=2014年、大手町 撮影:田中龍作=
労働者を不安定な状況に置き、貧しくさせた元凶は派遣労働の際限なき解禁だった。
用済みになれば切れる派遣の方が常雇いよりもはるかにコストを軽減できる。一度味をしめた企業が派遣というシステムを手放すはずがない。
経団連と連合が支える政治が続く限り、労働者は永遠に貧しい。若者が働いてもトヨタの車を買えなくなったのはあまりにも皮肉だ。
人口増加につながる社会は夢のまた夢。この国は滅亡するのである。
~終わり~
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