
隊列らしきものを組んで登院する参政党議員。片手を曲げたまま挙げるのは「ハイルヒトラー」の唱和に応える時のヒトラーのポーズである。=1日朝、国会正門近く 撮影:田中龍作=
国会議事堂正門に向かって行進してくる一団があった。総勢15人。軍隊で言えば一個小隊だ。だが隊列になっておらず、足並みも不揃いである。出来の悪い軍隊だ。
参政党の初登院の光景は、軍靴の足音が聞こえてくるほど不気味であった。同党の憲法草案は、自衛隊を自衛軍と呼び、司法から独立した軍事法廷まで設けている。
参政党が政権を獲るということはありえないが、タカ派の有力与党議員と連立を組んだ時が危ない。

「石破は辞めるな」。男性は叫び続けた。=1日夕、自民党本部前 撮影:田中龍作=
キャスティングボートを握るまでに急膨張した参政党議員たちの初登院から10時間後―
自民党本部前では、集まった市民たちが「石破辞めるな」のコールを響かせていた。主催の男性(介護職員・29歳)は、過去の選挙では自民党に投票していたという人物だ。
前回(7月25日)のデモでも、自民党に投票していたという参加者がいた。
自民党支持、野党支持の参加者たちに共通するのは、石破を辞めさせようと血道をあげている安倍派への反発だ。
安倍の亡霊を現世に呼び戻してはならない。デモ参加者たちの多くが「石破の戦後80年談話」に期待しているのは、このためでもある。
だが、マスコミ報道によれば石破首相は「戦後80年談話の発出」を見送るという。
石破氏は3月に硫黄島を訪問した際、「戦後メッセージ」の発出に意欲を示した。
硫黄島の攻防(1945年)は最も過酷な戦闘として日米両国の戦史に残る。奇跡が起きても日本の敗北は動かなくなった。歴史の結節点でもあった。
硫黄島という場で、「戦後メッセージ」発出への意欲を表明する。いかにも歴史に造詣が深い石破らしかった。

石破激励デモの行列は長かった。前回と違う顔ぶれが目立った。安倍派は「石破辞めるな」デモを侮らない方がいい。=1日夕、自民党本部前 撮影:田中龍作=
発出を断念したのは、安倍派が暴発し党内が混乱するのを防ぐためとされる。あくまでもマスコミ報道ベースだ。
安倍晋三は国権の最高機関でウソをつき、公文書を改ざんさせ、アベノミクスで庶民を貧困のドン底に突き落とした。
9月2日の降伏記念日も含めて、石破がメッセージ発出を断念すれば、安倍の亡霊に屈したことになる。
~終わり~
【読者の皆様】
参政党の危険性を見届けるために田中は京都、大阪まで足を延ばしました。ファシズムは気づいた時にはもう手遅れです。