
幹まで無造作に伐られていた。=22日、神宮外苑 撮影:田中龍作=
100年を経て自然の宝庫となり都民に緑のオアシスを提供してきた神宮外苑。デベロッパーと政治家以外は望んでいない再開発が進む。
貴重な樹木をどうするのか? 住民から疑問の声があがると、デベロッパーはイケシャアシャアと「移植します」と言ってのけた。
ラグビー場となる建国記念文庫の森と神宮第2球場周辺からは、昨年10月からこれまでに90本の樹々が外苑内の他の場所に移植された。
樹々たちはどうなっているのだろうか。元気にしているのだろうか?
きょう22日、造園技師や日本イコモス理事の石川幹子東大名誉教授と共に、移植先を見て回った。

枝はことごとく伐り払われていた。22日、神宮外苑 撮影:田中龍作
無残に幹や枝を伐られている姿に唖然とする。支え木をあてられて力なく立っていた。これが森の守り神スダジイなのか? 哀れであった。同時に怒りが突き上げてきた。
造園技師の山川一郎(仮名)氏は「樹勢がない」と診る。「ここまで伐る必要があるのか」と憤った。
業者がトラックに積む際、無闇に幹、枝、根を伐ったのである。
山川氏は「支え木の当て方が雑なため樹々に傷がつき、そこから腐る」と気を揉む。
古木巨木の移植が難しいことは、お抱えの御用樹木医を持つデベロッパーは知っていたはずだ。枯れる頃には忘れられた存在になっている、とタカを括っているのだろうか。

首を斬られた人間のように思えて仕方がなかった。=22日、神宮外苑 撮影:田中龍作=
明治天皇の遺徳を偲び市民が手弁当で創りあげてきた森は、心ないデベロッパーと政治家によって破壊されるのだろうか。
石川名誉教授は「樹木の尊厳を無視した無謀な移植」と喝破した。
~終わり~
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