ベネズエラ 労働者が残飯を漁る国

子供たちと共にゴミを漁る母親は妊娠中だった。マドゥロ大統領は「人道危機はない」と主張する。ゴミ袋漁りはタブーだ。撮影した米TVクルーは国外追放となった。田中はスモークドガラスの取材車で隠し撮りした。=2019年、カラカス市内 撮影:田中龍作=

トランプ政権がベネズエラという主権国家に軍事侵攻し国家元首を連れ去って行った。19世紀ではない。21世紀の世界に起きた現実だ。

トランプの蛮行は許されるものではない。一方でマドゥロ独裁もしっかり直視する必要がある。

2019年、トランプ(1期目)の軍事介入示唆を真に受けて立ち上がった民衆の顔が忘れられない。

独裁政権打倒の機運が萎み始めても皆、一縷の望みを託してデモに参加していた。表情は決して明るくなかった。

水道さえまともに機能しておらず、公共工事は止まったまま。ハイパーインフレ。

何より世界一の産油国でありながらガソリンを自国で精製できない(後日詳しく述べる)。

国家としてすでに破綻していることは明らかだった。

高級チーズは低所得者が給料1ヵ月分をつぎ込んでも買えない。=2019年、カラカス市内の市営マーケット 撮影:田中龍作=

「大卒の月給で(カマンベール)チーズが買えない」とOLが嘆いていた。理由はハイパーインフレだ。

頭の悪さで鳴るマドゥロ大統領が、インフレ基調であるにもかかわらず紙幣を大量増刷したのである。マドゥロは外国のエコノミストの警告に耳を貸さなかった、と言われている。

反米親露のインテリたちよ。恐怖政治に怯える民衆に思いを致したことがあるか。社会主義国家でありながら、ゴミ箱を漁る労働者親子に思いを致したことがあるか。

治安当局による拷問、不当拘束は独裁政権を象徴するものだ。アムネスティによると約2,000人以上が政治犯として収監されている。

国民の4人に1人が脱出するほど酷い国家であることを認識しなければならない。(昨年5月までの脱出者は790万人=UNHCRまとめ)

クリントン元米国大統領の銅像。=2023年、コソボの首都プリシュティナ 撮影:田中龍作=

人権が蔑ろにされている国、地域に対する第3国の介入は、許されないものなのか。25年以上も前のヨーロッパでこんなことがあった。

人道外交を掲げるクリントン米大統領が主導するNATOのユーゴ空爆(1999年)でコソボは解放された。国連安保理の決議はなかった。

商店員の女性(20代)は「私たちは鳥カゴの中にいる小鳥も同然だった」と辛そうに振り返った。

コソボの首都プリシュティナにはクリントンの銅像が立つ。今なおNATOが駐留する。

ベネズエラの場合、コソボのような大量虐殺は報告されていないが、当事者であるベネズエラ国民の多くは解放を喜んでいる。

 ~終わり~
 
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