
神谷宗幣代表。よくも悪しくも今日本で最も注目を浴びる政治家だ。目が離せない。=15日午前、靖国神社拝殿脇 撮影:田中龍作=
80回目の終戦の日は、自称保守の新旧入れ替わりの日となった。
自民党議員たちが中心になって作る、伝統の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」。逢沢一郎副会長を先頭にVIP用の玄関である到着殿に繰り込んで行った。
まるでお通夜の行列である。衆参両方の選挙で大敗し与党の地位が危なくなっていることが大きい。
田中は日本にいれば、8月15日は靖国を取材するようにしている。「みんなで靖国神社…」の参拝は30年くらい前までは緊張感があって華もあった。『我々が保守政治の本流なんだよ』という自負と矜持が顔に出ていた。
ところが今はどうだ。小泉竹中以降、自民党は保守の哲学を忘れてしまった。民を大事にし、国や地域を大事にするのが保守政治のはずだ。
ところが小泉竹中が推し進めた新自由主義とグローバリズムで、国も地域も民も貧しくなってしまった。
アベノミクスがそれに拍車をかけた。今や日本は世界に名だたる貧困大国である。日本をここまで貧しくしてしまった自民党政権から人心が離れるのは当然である。選挙結果はその表れだ。

自民党の「みんなで靖国神社に参拝する国会議員の会」。覇気もなくゾンビのようにフラフラと歩いていた。=15日午前、到着殿前 撮影:田中龍作=
凋落する自民党に代わって台頭したのが参政党だった。
「国民を貧しくしたのは移民だ」として「日本人ファースト」を掲げる。もちろん減税も忘れない。排外主義の時流に乗ってブームを巻き起こした。
参政党の国会議員と地方議員が敗戦の日の靖国神社を集団参拝した。
集合写真が放つオーラが凄い。お通夜のような自民党の対極にあった。
「南京の虐殺はなかった」と言い放ち、「核兵器は安上がり」と言って恥じない議員たちに参拝されて、二百四十六万余柱の英霊はどんな気持ちだろうか。
「何のために俺たちは死んでいったんだ」…悔やんでも悔やみ切れないのではないか。
保守でも極右でもない。極右モドキは参院で法案提出権を持つまでの議席を得た。モドキであるがゆえに民のことなど考えずに突き進む恐れがある。
この国が二度と再び間違った戦争を始めたりせぬよう、しっかり見張らなければならない。敗戦の日の田中の誓いだ。

参政党の国会議員と地方議員。まさに日の出の勢いだ。=15日午前、靖国神社拝殿脇 撮影:田中龍作=
~終わり~
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