「こんな火山の多い鹿児島に原発を作るべきではない。福島の人たちの痛みを自分の痛みと受け止めて、子供たちの未来のために私と一緒に原発を止めましょう」。
「新党ひとりひとり」公認の ありかわ美子候補 が訴える脱原発は切実だ。鹿児島2区の多くの地域は九電・川内原発から50キロ圏内。
姶良(あいら)カルデラが噴火すれば火砕流が川内原発に到達する恐れがある。鹿児島大学の井村隆介准教授(地震学)は「火砕流が川内原発を飲み込めば、福島の事故の何百倍も大きな事故になる」と分析する。
原発から使用済み核燃料をすべて取り出すのには一年前後を要する。どんなに火山噴火予知が進んでも一年も前から予知するのは不可能だ。仮に予知しても電力会社は警告を聞き入れないだろう。川内原発の危険性は破格である。
にもかかわらず今回の選挙でマスコミが本命扱いする自民と民主の候補は原発容認だ。
きょうは「原発いらない福島の女たち」の佐々木慶子さんが応援に駆け付けた。
「原発と被ばくをなくさなければ日本の将来はない。ありかわさん は本気で立ってくれた。いま川内原発を止めなければ、なし崩し的に(3・11)前のような原発推進に戻ってしまう。止めてほしい一心で頼まれもしないのに鹿児島に来た」。
佐々木さんは ありかわ候補 に悲壮なまでの思いを込める。
街頭の ありかわ候補 が道行く有権者に握手を求めると半分以上が握り返してくる。中にはぎゅっと強く握り返してくる人もいる。
「(強く握り返してくるのは)お年寄りや原発反対の人ですね」。ありかわ候補は確かな手応えを感じているようだった。