「おなごは議を言うな(女はだまって従え)」-鹿児島特有の男尊女卑を象徴する言葉だ。議論することが仕事である政治の世界に女性は要らない。鹿児島では今なおそんな風潮が残る。鹿児島市議会の女性議員は、わずか5人(定員50人)。10人に1人という淋しさだ。
「鹿児島で女性が国会議員の選挙に立候補したことを素直に喜びたい。これは革命です」。こう話すのは鹿児島市議会議員の小川みさ子さんだ。
小川さんは ありかわ美子 選対の選挙責任者を務める。ありかわ氏が「新党ひとりひとり」の公認候補に選ばれると真っ先に駆け付けた。ボランティア第1号だ。
同性が手を挙げたことに共鳴したのだろう。ありかわ陣営は女性ボランティアの姿が目立つ。
北九州市から選挙期間中3回も駆け付けた主婦(40代)は熱を込めて話す。「世の中のおかしさに対する疑問と怒り。ここから変えなければならない。ここで変えなければ何も変わらない。 ありかわさん は私自身」。
東京から遠路足を運んだ女性(30代 グラフィック・デザイナー)もいる。「ありかわさん は私利私欲がない。ボランティアとカンパだけで選挙を支えている。ありかわさん が通れば日本の政治が変わる」。
ありかわ候補自身は「特に気負いはない」としながらも次のように話した。「男が政治の世界の大半を占めてきたからこんな世の中になった。女の視点が足りない。それを変えなければならない」。
夕方、選挙事務所をのぞいた。
「いま女性議員が少ないですから。ぜひ選挙に行って下さい。ありかわ美子をお願いします」。仕事を終えてボランティアに訪れた女性たちが「電話掛け」に余念がなかった。保育士、生協職員、陶芸家、整体師、ヘルパー、専業主婦・・・実にさまざまだ。