「新党ひとりひとり」が初めて公認候補を立てて臨んだ国政選挙は、厳しい結果となった。ありかわ美子候補がつい先ほど記者会見し、再出発への思いを語った―
「大きな力に勝つために今から皆とつながってゆきたい」。ありかわ氏は今後の政治活動に意欲を示したうえで、次のように選挙戦を振り返った。
「川内原発反対は女性が多いと思っていたけど、男性の方が多かった。『僕は自民党支持だけど原発を止めてほしい。だから今度は応援するよ』と言って強く手を握り返してくれた」。
山本太郎代表は「今回の敗北を重く受け止め次の戦いをポジティブに進めてゆく。統一地方選→参院選→総選挙と続く」と闘志を新たにした。
選挙期間中、のべ1,000人のボランティアが全国各地から駆けつけた。選挙運動を支えたのはボランティアとカンパだった。大政党のように業界や労働組合に頼るわけではない。
鹿児島市議会議員を19年(5期目)務める小川みさ子さん(無所属)は「鹿児島ではこんなことはなかった」と驚く。「ボランティアとカンパで国政選挙ができることを若い人が知った意味は大きい。これからの地方選挙にもつなげてゆきたい」。小川さんはしっかりとした口調で話す。
国政選挙である今回の選挙で本来問われていたのは、川内原発の再稼働、消費税、TPP、集団的自衛権だった。
ところが自民党に対抗した野党共闘(民主、結い、維新、生活)が原発やTPPで足並みが揃わなかった。結果、「政治とカネ」というあいまいで壮大な問題がテーマとなった。
マスコミはそれぞれの問題と選挙を結びつけなかった。またしても争点隠しの選挙となったのである。
薩摩半島南端の頴娃町(えいちょう)。サツマイモの葉が錦江湾からの海風を受けて揺れる田園地帯だ。典型的な自民党の金城湯池である。当然のように同党候補者の看板が目立つ。
だが突如として水田脇に異質な看板が登場する。「止めよう川内原発再稼働・新党ひとりひとり」。看板を引き受けたのは、地元の農家・松崎富弘さん(66歳)だ。
「福島の事故を見て農業がやっていけなくなることが分かった。村八分も覚悟で看板を立てた。『原子炉が再稼働して事故が起きたらおしまいなんだぞ』と言ってやりたい。ありかわさんが一所懸命やっているので応援する」。松崎さんは目を輝かせながら語った。
「新党ひとりひとり」は保守王国にもしっかりとクサビを打ち込んだ。山本太郎代表の目指す脱原発に向けて、種はしっかりと まかれた。