
先陣を切って茂木前幹事長が出馬記者会見を開いた。=10日、衆院会館 撮影:田中龍作=
茂木敏充(69歳)。外務大臣、経産大臣、幹事長などを歴任した。連続当選10回の大ベテランである。東大、ハーバード卒の学歴も申し分ない。
自民党が下野していた頃、谷垣総裁の記者会見で黒子のように後ろに付いていて、逐一メモを手渡していた姿が忘れられない。博覧強記なのだ。
全盛期の自民党であれば、総理になって当然の人材だろう。田中個人としては好きなタイプの政治家ではないが。
茂木は10日、自民党総裁選への出馬記者会見を開いた。どの立候補予想者よりも早く、だ。年齢的にもこれが最後になるからだろうか。
立候補演説はわずか10分。コンパクトだったがプロンプターを置くなどして大変な熱の入れようだった。アメリカの大統領選挙ばりである。

プロンプターが茂木の本気度を物語っていた。=10日、衆院会館 撮影:田中龍作=
田中はたまたま指名されたので、次のように質問した。
「ハッシュタグ自民党が滅びなければ日本が滅びる、というのがありトレンド入りしているのを御存知か?」と。
茂木は「知らない」と答えた。
田中は「今の自民党は誰が総裁をやっても選挙はボロ負けする。その度に総裁選挙をするのか? 庶民の窮乏を尻目に国会を開かずに総裁選をするのか?」と更問いをした。
茂木は「総裁選をやるということが目的ではない。自民党は党内的にも求心力を失っているが、もう一度出直して挙党体制の下で…」などと答えた。
『挙党体制』は耳タコである。しかも有権者の多くは自民党に一致結束して欲しいなどと思っていないのだ。国民世論との乖離には目を覆うばかりだ。自覚症状なき重症患者とでも言ったらいいのだろうか。
私が総裁になったら「裏金議員とツボ議員は公認しない」「森友文書をすべて公開する」くらい宣言しないことには自民党への信用は戻らない。実現すれば自民党がなくなるが。
問題は深刻なのである。《文中敬称略》

記者会見には多くメディアが詰めかけた。
=10日、衆院会館 撮影:田中龍作=
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