
両院議員総会で突き上げられ疲れ果てた表情の石破。=7月28日、自民党本部 撮影:田中龍作=
メディアというより運動体だった。ジャーナリズムなどと呼べる代物ではなかった。
石破首相を退陣に追い込んだ立役者は新聞・テレビ・通信社というオールドメディアだった。
読売新聞と毎日新聞が“辞令”を出すところから始まったオールドメディアの暗躍は、50日間、安定して続いた。
特にテレビはスシローこと田﨑史郎が中心になって、石破首相を悪役に仕立てあげ、終盤は「総裁選前倒しを求める声が勢いを増している」と強調した。
様子見を決め込んでいた中間派の議員は、前倒し署名に傾いていった。「勝馬に乗れ」である。

マスコミが菅直人を勝たせた民主党代表選挙。=2010年9月、新宿 撮影:田中龍作=
民主党政権時代に菅直人と小沢一郎の一騎打ちとなった代表選挙(2010年9月)を思い出す。勝った方が総理となる。
選挙期間中に同党の国会議員から実際に聞いた話だが―
週末、選挙区に帰ると支持者から「代表選は菅さんと小沢さんのどちらに入れるのか?」と聞かれる。中間派の議員は50人もいた。
マスコミが創り出した小沢さんの悪役イメージが支持者に刷り込まれていて「小沢さんに入れたりしないでしょうね」と言われる。
小沢のお蔭で初当選した1期目の議員は苦しい胸の裡を明かしていた。
当時、週刊誌などに掲載される小沢の顔写真は、いかにも悪党という顔だった。
あれから15年。SNSに押されがちのオールドメディアが石破おろしを主導した。
~終わり~
◇
『田中龍作ジャーナル』は読者のお力により維持されています。