2020年のオリンピック開催地を決めるIOC総会が、1週間後の9月8日、ブエノスアイレスで開かれる。東京都の猪瀬知事は今夕、「都民と国民の支持を追い風に勝ち取ってくる」と世迷言を残してブエノスアイレスへと発った。
世界に不安を与え、間もなく実害を及ぼすことになる東電福島原発からの汚染水漏れを尻目に政・財・報あげての五輪招致だ。
愚かしいという他ない。特に国会とマスコミ。国会は汚染水対策の集中審議を先送りした。オリンピックの開催地決定に悪影響を及ぼしかねないため、と伝えられている。
マスコミはそれを批判しようともしない。オリンピックが東京で開かれれば、巨額の広告費が転がり込むからだろう。冷静に考えて、人一倍健康に気を遣うアスリートが放射能に汚染された日本に来たいと思うだろうか。
猪瀬都知事の出発に合わせて市民たちが今夕、オリンピック誘致に反対するデモを都心で行った。一行は新橋駅前をスタートし銀座を通って有楽町までの繁華街を練り歩いた。
銀座は昨年8月、JOCの招致イベントに沸いた地だ。ロンドン五輪出場選手たちが2階建てのバスに乗り凱旋パレードすると、マスコミは「50万人の人出」などと囃し立てた。
「オリンピックは要らない」などとシュプレヒコールをあげながら歩くデモ隊を、道行く人は物珍しげに見つめた。デモ隊の主張は至極まともなのだが、マスコミによる刷り込みが効いているのだろうか。
日本はオリンピックなんぞに現(うつつ)を抜かしている場合ではない。国力のすべてを動員して汚染水対策に取り組まねばならないはずだ。