むやみな原発再稼働に警告を発する集会に自民党の国会議員が参加していた。主催者が参加国会議員の名前と政党をアナウンスすると、場内に緊張が走った。「なぜ自民党が来るんだあ」・・・ヤジまで飛んだ。
安倍自民党政権は原発の再稼働と輸出にまっしぐらだ。原発推進は党是とも言える。再稼働反対一色の集会に自民党議員が参加するのは異例だ。
党の方針に逆らうことになるこの種の勉強会に参加するには勇気が要っただろう。筆者は議員の写真をあえて撮らなかった。
名前を出さないという約束で議員に話を聞いた。「(政府と自民党は)地元が納得いくようにもっと説明しなければならない。説明が足りていない」。控えめだが、議員は党と政府の原発政策を批判した。
原発に反対しても河野太郎議員のように祖父の代から受け継いだ盤石の地盤があれば怖くない。だが当選回数が少なく強固な地盤を持っていない議員にとって執行部の方針に逆らうことは、自殺行為にも等しい。
1人だけしか当選しない小選挙区にあって、党の公認を外されることは命脈を断たれるようなものだ。
《安倍政権の行き着く先は・・・》
1選挙区で3人も4人も当選する中選挙区制度の頃は、執行部の方針にタテついても、それほど心配することはなかった。派閥の力(数)によって公認が配分されていたため、執行部にニラまれても公認を外されることはなかった。
万が一公認を外されても、後援会がしっかりしていれば当選できた。気概のある政治家は、たいがい後援会が強固だった。
中選挙区制の頃の自民党ハト派は、文化人が多く党の良心でもあった。特定秘密保護法で異論を唱えた村上誠一郎議員のようなサムライもザラにいた。
派閥の力が衰えた今、党を牛耳るのは総裁と幹事長だ。2人がタカ派でコテコテの原発推進派となれば、ハト派と原発慎重派は生きづらくなる。安倍政権の行き着く先は、戦争と原発だらけの世界なのだろうか。