16日にあった立憲民主党の国対ヒアリングで司会役の衆院議員が冒頭告げた―
「YouTubeとか同時報道(同時配信)はしないようお願いします。新聞テレビのカメラはOKです」。
ネット報道への規制が宣告されたのである。一方で新聞テレビへの厚い配慮は忘れなかった。
自民党ならともかく野党のそれもリベラル政党がネットライブをご法度としたのだ。2009年の政権交代で情報公開を旗に掲げていた政党が、旗を降ろしたのだろうか。いずれにせよ情報公開は後退した。
ヒアリングの対象はジャニーズ事務所の所属タレントだったカウアン・オカモト氏、警察庁、法務省などだ。
ジャニー喜多川氏から受けた性被害に関する聞き取りゆえ、カウアン氏への配慮かと思ったがそうではなかった。カウアン氏側からライブは止めてくれという申し出はなかった。
ヒアリング担当の衆院議員はネットライブを禁じた理由を次のように明かした。
「(昨年の)統一教会問題でのヒアリングからこうなった。党で決めたんです」と。すっきりしない答えだった。いかにも背景がありそうだ。
政府の省庁を招いてのヒアリングでは「エッ!そうだったの」という事実が官僚の口から飛び出したりする。ライブならではだ。
テレビカメラの録画だと、権力にとって都合の悪い発言はカットできる。新聞は書かせなければいいだけの話だ。
ネットライブが禁止されれば、テレビ局はネットメディアに出し抜かれずに済む。こんな有難いことはない。
田中はヒアリングが終わって国会の廊下を歩くカウアン氏らを撮影した。すると記者クラブメディアの記者から「ここは撮影しちゃダメですよ!」とお叱りを頂戴した。
新聞テレビは国会の廊下を歩く議員を撮影しているではないか。その映像は頻繁にテレビ画面に流れる。
国会のメディアパスを胸にかざす記者クラブメディアは撮影OKでも、フリーランスは不可ということなのだろうか。
権力監視は からっきし 駄目な記者クラブメディアだが、フリージャーナリストに対する監視はしっかりしているようだ。
~終わり~