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=撮影:田中龍作 写真は本文と直接関係がありません=
ある県警本部捜査二課での会話。時刻は夕方6時を回っていた。
50代の係長(警部ノンキャリ)が自分の息子ほどの年の二課長(警視キャリア=31~32歳)、に「課長、タクシーを呼びましょうか?」。
ノンキャリの課員たちがこれから汚職の聞き込みや尾行に向かう頃合いだ。夜も靴底をすり減らして歩く。
この課長は「ネズミを捕ってこない猫もいる」と言って、ノンキャリの捜査員をけなしていた。
一方、ノンキャリが地を這うような捜査で汚職を摘発すれば、それはキャリア課長の手柄となる。
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=撮影:田中龍作 写真は本文と直接関係がありません=
鹿児島県警本部の捜査2課長(28歳)が知人の女性に性的暴行を加えた容疑で書類送検された。バリバリのキャリアなのだが将来はない。
どの役所もそうだが、キャリアはノンキャリの上に君臨する。ノンキャリはキャリアの下働きである。警察はそれが露骨な組織だ。
ノンキャリで警視になれるのはごく一握りである。警察署長や本部の課長が、警察官のうちでごく僅かであることを考えれば、お分かり頂けよう。
ノンキャリ警察官が50歳を過ぎて定年前にやっとなれる警視に28歳の若造が就く。上述したようにノンキャリをアゴでこき使い、手柄はキャリアに。
キャリア天国の警察で起きたどうしようもない不祥事は、警察組織の腐敗を象徴しているようだ。
~終わり~
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