きょう昼前、奈良市内で選挙遊説中の安倍元首相が元自衛官(41歳)に銃撃され死亡した。
憲法改正がかかる選挙の期間中に言論がテロにより封殺されたのである。禍々しい時代の到来を予感させるようで、なんとも薄気味悪い。
犯人がすぐ真後ろに迫っているのが映像に映り込んでいる。急な日程だったとはいえ警備の抜かりは否めない。
安倍首相の現職時、警察は予防拘禁のようなことさえしていたのだから。
奈良県警の警備課長と本部長は責任を問われるだろう。
チョコレートに青酸カリを混入するなどして食品会社を脅迫した事件が1984~85年にかけてあった。犯人を取り逃がした滋賀県警の本部長は焼身自殺を遂げた。
社会党の浅沼稲次郎が日比谷公会堂で演説中、右翼少年に刺殺される事件があった(1960年)。
右翼少年は獄中で不可解な自殺を遂げている。
今回の安倍元首相暗殺事件で警察幹部から自殺者が出たりしないことを願うばかりだ。もちろん犯人の元自衛官にも死んでほしくない。
たとえ暗渠がポッカリと口を開けて待っているとしても。
早くもテレビ局は安倍元首相を褒めちぎり始めた。「地球儀を俯瞰する外交」「大衆に飛び込む政治家」などと歯の浮くようなセリフを並べて。森友、加計、桜といった暗部には一切触れない。死者は貶(けな)さないのが日本人の美徳とはいえ。
「私や私の妻が関わっていたとしたら総理大臣はおろか国会議員も辞めますよ」(2017年2月衆院予算委)。森友事件で野党議員から追及された安倍首相(当時)はこう答弁した。
安倍首相の「口から出まかせ」がなければ、財務省の職員は自殺に追い込まれずに済んだ。
安倍元首相の功罪をきっちりと総括して、私たちはテロに怯むことなく乗り越えなくてはならない。
~終わり~