東京は昨日、きょう(18日)と真夏日になった。体が溶けるのではないかと思うほど暑い。
さりとて低所得者はクーラーのスイッチを入れるのにも躊躇する。その上、6月から電気料金が大幅に値上げされる。「貧乏人は熱中症で死ね」と宣告されているに等しい。
30~40年前位までは公園や神社など緑豊かな所に行けば涼めた。
ところが再開発流行りの昨今、公園は取り壊され商業ビルやタワマンが建てられた。かつての公園は商業ビルの屋上に持って行かれたり、タワマン脇の人工土壌の上に設えられたりした。
3年前、ショッピングモールやホテルとして華々しく再開発された渋谷区の宮下公園に行ってみた。
直径1m高さ10m近い大木が林立し、木陰でひと涼みできていた宮下公園はどうなっているのか。
公園は3階建てショッピングモールの屋上に「祀り上げられ」ていた。
地面は土ではなくコンクリートである。照り返しで暑い。大木ではなく今にも枯れそうなショボくてヒョロヒョロとした木が所々に数本ずつあるだけだ。
訪れた人は公園の認識を変えることになるだろう。かつてのように涼みに行くなんて夢物語にもならない。
公園の端には高層のホテルが聳え立つ。宮下公園は庭の役割を果たしていたのだ。反射的に日比谷公園を思い出した。
帝国ホテルが高層化される日比谷の再開発では、日比谷公園に向けて橋が架けられる計画なのだが、開発側はホテルに庭ができると豪語しているのだそうだ。
日比谷公園管理の実務に詳しい専門家によれば、再開発により300本から1千本の樹木が伐採される。いずれも古木巨木だ。
木々がうっそうと茂る古い公園を歩くと緑の冷気が降り注いでくる。天然のミストシャワーなのである。再開発はヒートアイランド現象の抑制装置をわざわざ破壊するのだ。
電気代が怖くてクーラーを利用できない年金生活者などは熱中症にかかりやすくなる。暑さで命を落とせば、デベロッパーに殺されたようなものだ。庶民は灼熱地獄に叩き込まれるのである。
宮下公園も、日比谷公園も、3千本の樹々を伐採する神宮外苑も、再開発は三井不動産が手がける。
~終わり~