選挙区内で香典を配ったとして公職選挙法違反に問われている菅原一秀・前経産相の地元練馬(東京9区)を歩いた。
練馬駅周辺は菅原氏のポスターだらけだ。4~5メートルも歩けば、必ず「笑顔」が迎えてくれる。
菅原氏は区議→都議→衆院議員(2003年初当選)と叩き上げだけに、地元対策は怠りない。くまなく貼られたポスターが何よりの証拠だ。
『週刊文春』と検察審査会さえなかったら、菅原氏は我が世の春を謳歌し続けていたことだろう。
経産大臣に就任し爛漫の春を謳歌していた菅原氏に一発の文春砲が放たれた。
秘書が地元有権者の葬儀に出向き香典を手渡しているところを文春のカメラがおさえたのである。(2019年10月24日発売号)
香典の提供は公職選挙法(221条)の定める買収にあたる。市民が公選法違反で東京地検に告発したが、東京地検は2020年6月、不起訴(起訴猶予)処分とした。
官邸の番人と揶揄される検察庁はいつものように権力者の犯罪を見逃したが、検察審査会は見逃さなかった。菅原氏を「起訴相当」としたのである(今年2月24日付)。
検察審査会による起訴相当議決を受けて検察庁は再捜査することになる。それでも検察が起訴しないことは十分考えられる。
その場合、検察審査会が2度目の審査をし、再び起訴相当を議決すると菅原氏は強制起訴される。刑事被告人となるのである。
前回(2017年)、前々回(2014年)の選挙で、菅原氏は次点の候補にダブルスコアで勝ち、2012年の選挙では、トリプルに近い大差で次点の候補を下している。
菅原氏が落選するとは考えにくい。だが検察審査会が再度、起訴相当の議決をすれば、菅原氏は刑事被告人という十字架を背負って選挙を戦っていかねばならないことになる。
田中はきょう17日、菅原議員の地元事務所を訪ねて、間近に迫る選挙について聞いた。
応対した秘書氏は「今はそのようなことにはお答えできません」とニベもなかった。
~終わり~
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