あす(2日)投開票の千代田区長選は混戦模様となっており、現職の樋口区長はスキャンダルなどもあって尻に火が付いた状態となっている。
選挙戦最終日。愛弟子の苦戦にお師匠さんの小池知事が駆け付け、街宣車のマイクを握った。
田中は選挙取材で日テレ通りを歩いていた。「ヒグチ、ヒグチ・タカアキでございます」。閑静な街並みにウグイス嬢の連呼が響く。田中は近づいてきた樋口区長の街宣車にレンズを向けて構えた。
街宣車が田中の真横に来た時だった。赤信号で停止したのである。すると前部座席のウグイス嬢と後部座席の男性が手で顔を隠した。
ウグイス嬢は小池東京都知事、男性は樋口千代田区長だった。
田中が「知事、知事」と声を掛けていると、警察のSPが警護の車から降りてきた。信号が青に変わって、街宣車が走り出したため、SPたちは警護の車に戻った。
小池知事と樋口区長。二人とも押しも押されもせぬ現職の首長である。なぜコソコソするのか。疚しいことでもあるのか。
はっきりしているのは、田中が小池知事お気に入りのメディアでないことだ。樋口区長は小池知事の学歴詐称疑惑で名前が登場する。
樋口区長苦戦の最大要因はスキャンダルではない。支持関係にある自民党が一部分裂し、野党の本命候補、浜森香織(はまもりかおり=無所属)氏をテコ入れしているというのだ。
日本のど真ん中の自治体は、自民党の密室談合政治を煮詰めたような政治を続けてきた。浜森候補は情報公開を掲げブラックボックスに光を入れようとしている。
ジャーナリストのカメラに顔を隠すようなリーダーとは訣別する千代田区にしたい。
~終わり~
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