【千代田区長選】 暗黒の区政に光射すか

都民ファーストの事務総長だった小島敏郎氏は、樋口区政の手の内を知る。=26日、神保町 撮影:田中龍作=

皇居を抱える千代田区は都心にあって緑も豊かで優れた景観を誇る。開発の規制は厳しいが、裏を返せば利権の宝庫である。

区の一等地を三井不動産に差し出し、見返りに前区長は高級マンションの優先入居権を得ていた。OB職員は三井不動産の関連団体に天下りする。

高さ制限を緩和した日テレ跡地の再開発なんてフジテレビよりもヤバイのだ。

小池知事の子飼いである樋口高顕区長は、2期目を目指す。師匠の薫陶よろしく密室政治だ。昨年1月、官製談合に関わっていた職員が自死を遂げた際も同僚たちにはしばらく知らされなかった。

千代田区は「魔界」と言って差し支えない。区長選挙が、きょう26日、告示されたが、誰もが尻込みしていた。

リベラル陣営が諦めかけていた時、勇気を奮って立ち上がったのが、浜森香織(はまもりかおり=無所属)氏だ。区議会議員の職を投げうって出馬した。立候補表明したのは、告示日まで2週間足らずとなった14日のことだった。

はまもり候補の人望が滲み出る光景だった。=26日、神保町 撮影:田中龍作=

急ごしらえにもかかわらず、はまもり候補の陣営は分厚い。

都民ファーストの事務総長を務め、その後、小池知事の学歴詐称を刑事告発した、小島敏郎弁護士が政策アドバイザーに就いた。

乱開発が進む神宮外苑の自然を守る運動を中心になって引っ張る人士も選挙スタッフとして汗を流す。はまもり候補が神田警察通りのイチョウ並木を地元住民たちと一緒に守ってきたことを知っているからだ。

野党系の元区議会議員たちも脇を固める。

出発式でマイクを握ったはまもり候補は、集まった聴衆に呼びかけた-

「情報を隠さない。逃げない。ウソをつかない。本当のことを知って皆で考えて行く。そうすれば全て問題は解決できる」。

ソ連のゴルバチョフ書記長が掲げた情報公開(グラスノスチ)は、密室の独裁政治が続いていた東ヨーロッパを解放に導く原動力となった。

暗黒の千代田区に光が射すことを願うのみだ。

樋口区長の出陣式に小池知事の姿はなかった。=26日、神保町 撮影:田中龍作=

 ~終わり~

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