年明け早々 自然破壊の槌音

写真右が建国記念文庫の森。クレーンがガタガタと音を立てて動くのを見た時、愛する人が凌辱されているような痛みさえ覚えた。=6日、外苑 撮影:田中龍作=

年末年始が明けると外苑の森に重機の音が響き始めた。昨日(5日)までは野鳥のさえずりとその姿が確認されていたのだが。

ここだけは触ってはいけないと言われていた建国記念文庫の森の前では、ユンボがせわしなく動いていた。古木巨木が鬱蒼と生い茂る森は、真夏でも冷気が立ち込め、冷蔵庫の中にいるようだった。森には昨晩秋、チェーンソーが入った。

神宮球場も秩父宮ラグビー場も補修すれば、立派に使えるのにもかかわらず、大規模化、高層化して建て直す。

100年の森は、開発業者と一部の政治家の利権のために無残にも破壊されるのである。

6大学野球の歴史を刻んだ神宮球場もいずれ解体となる。=6日、外苑 撮影:田中龍作=

日比谷の交差点を渡ると間もなく野鳥のさえずりが耳に飛び込んできた。騒々しいほどである。

神宮外苑が100年の森であるなら日比谷公園は120年の森である。

心字池では野鳥愛好家が水鳥たちをカメラに収めていた。東京のド真ん中に武蔵野の原生林が残っているのだ。毎度のことではあるが来るたびに驚く。

いま日比谷公園の自然が再開発に脅かされている。日比谷通りをはさんでミッドタウン側からデッキ(橋)が架かるのだが、心字池からわずか(西に約10m)にしか離れていない場所に着地するのである。そこにはエレベーターも付く。

心字池に飛来したカワセミ。カメラのシャッター音を察知したのか、すぐに姿を消した。=6日、日比谷公園 撮影:田中龍作=

杭を地中深く打ち込めば地下水の流れが変わる。心字池の水が涸れることも懸念される。

水涸れしなくてもエレベーター付きのデッキ(橋)がすぐ傍にできれば騒々しくなる。前出の野鳥愛好家は「デリケートなカワセミが来なくなるのでないか心配だ」と言って眉間にしわを寄せた。

デッキばかりではない。公園の再開発に伴って古木巨木が大量に伐採されることも、東京都公園事務所への取材で明らかになっている。

自然を蔑ろにすれば、シッペ返しは人間に来る。

神宮外苑、日比谷公園とも開発業者は三井不動産である。

心字池。シラサギも見かけた。=6日、日比谷公園 撮影:田中龍作=

 ~終わり~

 ◇
田中龍作ジャーナルは皆様のお力により維持されています。御支援カンパ何とぞ御願い申し上げます

田中龍作の取材活動支援基金

■郵便局から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
記号/10180 番号/62056751

■郵便振替口座

口座記号番号/00170‐0‐306911

■銀行から振込みの場合

口座:ゆうちょ銀行
店名/ゼロイチハチ・0一八(「ゆうちょ銀行」→「支店名」を読み出して『セ』を打って下さい)
店番/018 預金種目/普通預金 口座番号/6205675 口座名/『田中龍作の取材活動支援基金』

■ご足労をおかけしない為に

ゆうちょ銀行間で口座引き落としができます。一度窓口でお手続きして頂ければ、ATMに並んで頂く手間が省けます。印鑑と通帳をお持ち下さい。
記号/10180 番号/62056751 口座名/タナカリュウサクノシュザイカツドウシエンキキン

連絡先
tanakaryusaku@gmail.com
twitter.com/tanakaryusaku

政治