
山尾しおりは鬼の形相で中道政治の必要を訴え続ける。=9日、板橋区 撮影:田中龍作=
「タクシーに追尾された」として街宣予定を公表しなくなった候補者もいる一方で、殺害予告にも怯まず、街頭に立ち、政策を訴える候補者もいる。
国民民主の公認内定を取り消され、無所属で闘う山尾しおり。広大な東京選挙区で孤軍奮闘する。
商店街の練り歩きを取材した。板橋区のハッピーロード大山商店街。長い長いアーケード街は下町の風情がたっぷりと漂う。
視界に入るすべての人に駆け寄って行き握手を求めた。「山尾しおりです…」。声はかすれ切っている。商店の中にもずかずかと入ってゆく。
これほど死にもの狂いのドブ板選挙を見たことがない。
殺害予告にもめげていない。「脅迫の度に姿を消していたら伝えたいことが言えなくなる」とどこ吹く風だ。
「必死さは中道政治を守り抜くためか?」と聞くと、間髪を入れず「そうです」と答えた。

視界に入れば一人残らず駆け寄って握手を求める。しかも平身低頭。=9日、板橋区 撮影:田中龍作=
山尾の政策は―
・女系天皇を認めて皇室を安定的につなげて行く。
・自分の国は自分で守る。そのためにも憲法9条第2項を改正する。
永田町の尺度でいえば女系天皇はどちらかといえば左。憲法改正は右だ。右も左も掲げることができるのが中道の真骨頂である。
一方で彼女は徹底した人権派である。香港の民主化運動をめぐって、司法当局に国安法違反で起訴されている。起訴状によれば民主活動家と結託して政府の転覆を図った、という。
日本の政治家特有の「口だけ」ではないのだ。
選挙の時だけ取って付けたように心にもない「消費税減税」を言い始める。票になりそうなので排外主義を唱える。こうした政党に私たちはどれだけ騙されてきたことか。
ブレない山尾しおり。スキャンダルはともかくその政治姿勢は高く評価したい。《文中敬称略》
~終わり~