政権運営に行き詰まっていた韓国の尹錫悦大統領が起死回生のため発動した戒厳令は、わずか数時間で解除となった。
国会議員が国会に駆け付け、野党議員と与党議員の一部が「戒厳令の解除」を賛成多数で議決したのである。
軍が国会を封鎖したが市民がすぐに駆け付け、議員が国会内に入れるよう手助けをした。
政党職員らは国会の中にバリケードを作り、軍を本会議場に入れさせないようにした。
市民と国会議員と党職員が大統領発クーデターを阻止したのである。
韓国は大統領に不正や権力の乱用があった場合、市民が大統領を追い詰めることを知っている国だ。
2016年、100万人から成るデモ隊が大通りを埋め尽くし、朴槿恵大統領を退陣に追い込んだ「崔スンシル・ゲート事件」を思い出す。
朴槿恵大統領は国家予算を友人の崔スンシルが運営する財団に流していたのである。朴大統領はその後、検察に逮捕された。
お友達優遇政治は安倍首相(当時)の方がもっと大規模だったが、検察も日本国民も安倍首相を追い詰めることができなかった。とりわけ検察は追及する姿勢さえ見せなかった。
こんな国の政権に緊急事態条項を与えてしまえば、暗黒国家にまっさかさまだ。
政治の腐敗は国力の低下につながる。日本と韓国の経済を見れば一目瞭然だ。権力に大甘の姿勢はこの国を覆う貧困とも無縁ではない。
~終わり~
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レバノン取材の大借金を抱えたまま、無謀にも兵庫県知事選挙に赴きました。借金まみれです。