ヒズボラの通信機器爆発 イスラエルが蘇らせた古典的暗殺

ガザで購入したガラ携帯。血で血を洗う地域にあっては携帯電話までもが暗殺道具に使われる。=撮影:取材班=

さすがはイスラエルだ。”古典的”な暗殺方法を蘇らせた。それも裏をかいて。

17日、レバノン全土でポケベルが次々と爆発し、ヒズボラの戦闘員を含む9人が死亡、2800人が負傷した。ベイルート駐在のイラン大使も負傷者に含まれているもよう。

ポケベルはリチウム電池など回路の一部が爆発する仕組みになっていたと見られる。

携帯電話だとイスラエル側に居場所が突きとめられたり盗聴されたりするので、レバノン側はポケベルを通信手段にしていたのだろうが、そこを狙われた。

ポケベルが爆発し9人が死亡、2800人が負傷したレバノン。警察官もヒズボラだ。=2015年、ベイルート 撮影:田中龍作=

16年前の出来事がまざまざと蘇る。ガザに入った田中は、エルサレムで購入した携帯電話(ガラ携)を持っていた。

ハマスの戦闘員がそのガラ携を見て目をランランと輝かせた。「いくらで売ってくれるか?」とまで言って。 

ハマスの戦闘員が目を輝かせた理由は―

1996年、イスラエルはガザで核開発を進めていたヤフヤ・ハヤーシュ氏を、携帯電話を使って暗殺した。

手口はこうだ。イスラエルの工作員に仕立てられたパレスチナ人が電話を取り次ぐ風を装ってハヤーシュ氏に携帯電話を渡す。工作員が電話口に出ても爆発しないが、氏が「アルー(ハロー)」と言って代わった途端、爆発する仕組みになっている。

実際、パレスチナの英雄だった核技術者はこの手法で暗殺された。

復讐に燃えるハマスはこれをイスラエル側で実行しようと考えた。田中がエルサレムで購入したガラ携をイスラエル側に持ち込み、上記の手口でユダヤ人の要人を暗殺しようというのである。成果はあったのか、なかったのか明らかでない。

あの手この手で敵を屠る執念と技術は、スパイ映画を圧倒する。

~終わり~

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パレスチナ(ガザ・西岸)