人質皆殺しか、ネタニヤフ退陣か イスラエル、ゼネスト突入

ガザに侵攻するイスラエル軍。=2023年10月、ガザ最北部ボーダー 撮影:田中龍作=

人質6人の遺体がエジプト国境ラファのトンネルで発見された。これこそハマスとイスラエルの戦争を象徴する事態である。

ラファはガザ側とエジプト側の両方にまたがる地域だ。第3次中東戦争でイスラエルがエジプトから分捕ったため国境線が人工的になったのだ。

ハッサン一族が、イスマイル一族が、ムスタファ一族が、エジプト側のラファにもガザ側のラファにもいるのだ。

ガザ側が困窮すれば、エジプトのハッサン一族はガザ側のハッサン一族に食料はじめ生活物資を送った。これを支えているのがトンネルだ。生活物資のみならず武器弾薬やその原材料も混じる。

ネタニヤフ首相がフィラデルフィ回廊と呼ばれるラファ国境からイスラエル軍を撤退させないのはこのためだ。

ハマスはイスラエル軍の全面撤退を停戦交渉の条件に掲げて譲らない。

エジプトに向けて掘削中のトンネル。=2009年、ラファ 撮影:田中龍作=

こうして停戦交渉が膠着している最中に人質6人がラファのトンネルで発見された。司法解剖の結果、見つかる数時間前に射殺されたことが判明したというからハマスの強烈なメッセージである。

ネタニヤフ首相側は譲歩しないだろう。自らの汚職逃れのために戦争は永久に続いた方がよいのだから。

政治を私物化したネタニヤフに人質の親族はじめイスラエル国民は激怒した。1日夜は40万~50万人がテルアビブで大規模デモを掛け警察と衝突した。

イスラエル最大の労働組合「労働総同盟」が2日朝6時からゼネストに突入した。ベングリオン(テルアビブ)空港までが止まる大規模ストだ。

反ネタニヤフデモは、もともと司法制度改革(改悪)に反対するデモだった。

司法制度改革とは裁判官を国会が任命しようという改悪だ。ネタニヤフが自らの汚職逃れのため画策した。

3権分立も何もあったものではない。民主主義のシステムが破壊されることへの恐れと怒りがベースにある。そして人質の見殺し。

デモ参加者は手錠を掛けられながらも「ネタニヤフは独裁者だ」と叫んだ。

ネタニヤフ政権が潰れるのが先か、人質がすべて死亡するのが先か。国が揺れるほどの事態がしばらく続く。

土山の一つひとつが掘削中のトンネルだ。写真左側がエジプト。=2009年、ラファ 撮影:田中龍作=

 ~終わり~

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