スパイとジャーナリスト どこが違う

正当な取材活動とはいえスパイ容疑をかけられれば拘束され後ろ手錠となる。屈辱的なうえに痛い。=撮影:田中龍作=

 米紙ウォールストリート・ジャーナルのエバン・ゲルシュコビッチ記者がロシアでスパイ容疑により当局に拘束された。記者は戦車工場のあるエカテリンブルグで情報収集していたとされる。ロシア連邦FSBが30日、明らかにした。

 海外主要メディアによると米国紙記者がスパイ容疑で逮捕されるのは冷戦後初である。

 このニュースに触れた時、田中は1年前、キーウで治安部隊に拘束された自分を思い出した。

 時あたかもロシアから「ゼレンスキー暗殺部隊」が送り込まれた頃だった。大統領府周辺を取材のためチョロチョロしていた田中は、治安部隊に威嚇射撃を受け、その場で拘束された。後ろ手錠である。

 さっそく建物の壁を背に尋問が始まった。所持品はすべて調べられた。特にノートは入念だった。電話番号は治安部隊がスマホに撮った。

 治安部隊は田中が日本人ジャーナリストであることを確認すると、リリースした。尋問は30~40分で済んだ。

 日本がウクライナの同盟国だから無罪放免となったが、田中がもし中国人ジャーナリストだったら長期勾留は避けられなかったはずだ。

開戦翌日の大統領府周辺。ピリピリとした雰囲気だったが、拘束されることもかった。この時点ではまだロシアの暗殺部隊が送り込まれていなかったものとみられる。=2022年2月、キーウ 撮影:田中龍作=

 真正のスパイであれば、政府庁舎や軍事施設の周辺に近づいたりはしない。欧州諸国がウクライナに新鋭戦車を大量供与したことで、ロシアは戦車に関して神経を尖らす。真正のスパイであればロシアの戦車工場がある地域に足を踏み入れたりはしない。 

 「スパイ行為」と「職業としてのスパイ」は違う。

 英国の諜報機関MI6のスパイとBBCの記者は同一人物であったりするが、拘束されたウォールストリート・ジャーナルの記者は、職業的スパイではないと見るのが妥当だ。それでも敵対国であるゆえ取り調べは厳しいだろう。

 日本のジャーナリストは敵対国が少ないという利点を生かして機微な情報を取材できるはずなのだが。

   ~終わり~

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