親露派の皆さんは信じたくないだろうが、これが世界の現実だ。
ロイター通信によるとロシアの同盟国アルメニアは、首都エレバン近郊で11日から10日間の日程で合同軍事演習を始めた。
理由はシンプルである。アルメニアが隣国アゼルバイジャンから攻め込まれているのに、ロシアが守ってくれないからだ。
ロシア軍に基地を提供し駐留させていながら、である。
2020年のナゴルノ・カラバフ戦争でアルメニアは同地域の75%をアゼルバイジャンに奪われた。ロシア軍が平和維持軍として進駐しアルメニア人が虐殺されるのを防いだ。ロシア軍の進駐は一定の効果があった。
だがロシア軍は2023年2月、ウクライナに侵攻し苦戦する。アゼルバイジャンがこれを見逃すはずはなかった。
同年9月にアルメニアを砲撃し、12月には、ナゴルノ・カラバフ自治州を軍事封鎖してしまったのである。
同盟国でしかも盟主であるロシアは反撃する義務があるのだが、反撃できなかった。アゼルバイジャンの背後には強国トルコがいるからだ。アゼルバイジャンとトルコは「一つの民族二つの国家」といわれるほど固い絆で結ばれている。ウクライナで手一杯のロシアはこちらの戦線に戦力を割くほどの余裕はない。
米国と合同軍事演習するアルメニアには不安材料がある。10万人を超えるロシアからの亡命者を抱えていることだ。
すでにアルメニアに駐留しているロシアが自国民の保護を大義名分に掲げて、軍事制圧してこないとも限らない。
義務は履行せず、自分の勝手ばかりを押しつける。ロシアが恐怖支配で縛れば、縛られる側の国は別の軍事同盟に助けを求める。
あくまでも国家と民族の自己保存のためだ。決して米国の陰謀ではない。
ちなみに田中はコテコテの反米である。
~終わり~
◇
【読者の皆様】
田中龍作ジャーナルの財政が非常に厳しくなっております。
読者お一人お一人のカンパに支えられながら13年間続いてきました。
どうか田中龍作に独自取材を続けさせてください。
よろしくお願い申し上げます。 ↓