在日ロシア青年が警戒する「普通は大使館が守ってくれるのに…」

「プーチンは殺人者であることを忘れないで下さい」。参加者の一人は力を込めた。=20日、渋谷 撮影:田中龍作=

 ロシアが悪い、いや悪いのは米国だ…の問題ではない。「戦争反対」と声をあげたために祖国に帰れなくなった青年たちの話として読んで頂きたい。

 日曜夕方、人波が途切れることのない渋谷ハチ公前。在日ロシア青年たちが、「ウクライナに平和を」「ロシアに自由を」などと訴えた。

 2019年に日本に留学してきたユーリアさん(27歳)は、2021年に就労ビザに切り替えた。戦争前である。

 今年5月、祖母が病で重篤になったため一時帰国した。モスクワ空港に着けば携帯電話をチェックされるため、当局にニラマれそうな履歴はみな消した。

 「ネット上で『戦争反対』と言っただけで逮捕される」「白紙のプラカードや聖書を掲げただけで逮捕される」。

 家族から祖国の言論事情を聞かされていたユーリアさんは、用心に用心を重ねて一時帰国した。                                                                     

 いま日本に戻ってきて顔をさらしながら「反プーチン」を唱えれば、祖国に帰った時、どうなるか。容易に察しがつく。

 FSB(連邦保安局:旧KGB)の大使館員がチェックし、しっかり写真を撮っているからだ。

 「普通は大使館が守ってくれるのに今のロシア大使館は怖い」。ユーリアさんは警戒する。

女性(手前)は「プーチンが死んだら帰国します」。=20日、渋谷 撮影:田中龍作=

 ITエンジニアのチョーマさんは2022年10月に来日した。チョーマさんの話は現実味があった。

 「ウクライナとは戦争する必要があった」とするプロパガンダを普及させ、それを家庭に浸透させる。

 「戦争賛成が圧倒的に多い家庭で一人だけ戦争反対を唱えたら密告される。こうして戦争賛成の世論を盛り上げていく」のだそうだ。

 言論を弾圧し、国民をして聖戦と思い込ませ、無謀な戦争へと突き進んで行った戦前戦中の日本と同じではないか。

 「プーチン・イズ・ア・キラー」
 「ストップ・ザ・ウォー」・・・

 在日ロシア青年たちは日本で一番往来の多い交差点に向かってシュプレヒコールをあげた。

 思ったことを口に出せないところにロシアの現実がある。

ロシア青年たちは「危なくて帰国できない」と異口同音に語る。=20日、渋谷 撮影:田中龍作=

    ~終わり~

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