
大国は侵略戦争を正当化するためにプロパガンダに大金を投じる。とうぜん言論人にカネは流れる。=2022年 キーウ近郊 撮影:田中龍作=
直接の知人Aさんから電話があった。「(具体的な国名を挙げ)某国が田中さんの海外取材の費用を出すと言ってるけど、どうしますか?」
Aさんはいち早く国際政治の現場に駆け付ける。メディアが一字たりとも報道しない時点からだ。
いま世界を揺さぶっているウクライナ情勢でいえば、マイダンに人がやっと集まり始めた頃から、Aさんは現場観察を続けていた。陰謀論など入る余地はない。客観的で正確である。
Aさんが迅速に現場に飛べるのは、大国の資金があるからなのだろう。
資金繰りに窮する田中には実に有難い提案だった。一瞬舞い上がった。現場主義のジャーナリストにとって、渡航費はノドから手が出るほど欲しい。
だが、資金提供を受けてしまえば、大国の都合がいいように書かなければならない。「こういう風に書いてくれ」と筋書きまで指定してくるだろう。
戦争の恐怖と飢えにさらされる人々の立場から取材報道など不可能になる。田中は悩んだあげく資金提供を断ることにした。

戦争遂行のため大国は湯水のごとくカネを使う。世論工作にも莫大な費用を投じる。=ガザ 撮影:田中龍作=
借金まみれの生活はこの先も続くことになる。
Aさんの配偶者は、れっきとしたアメリカ人知識層だ。もちろん田中の知己でもある。
ちなみに田中に資金提供を打診してきた大国とはアメリカではない。
外国勢力による日本での情報工作は、国会の質問主意書で取り上げられたりするが、政府は否定していない。
ウクライナ戦争や兵庫県知事選挙の例が示すように日本人はいとも簡単に扇動される。多額の工作費を注ぎ込んでも元は取れる。
バカ正直な田中は資金提供を拒否したが…
~終わり~
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借金まみれの拙ジャーナルですが、田中龍作でなくてはつかめない情報をとって記事化し皆様に還元しております。