
強欲資本の総本山。ゴールドマン・サックス本社の玄関前に座り込んだデモ隊は警察に逮捕、連行された。=2011年11月、ニューヨーク・ウォール街 撮影:田中龍作=
「もう生きてゆけない」…99%の貧しき人々が、NY市警の弾圧に抗いながら約2ヵ月に渡ってウォール街のズコッティ公園を占拠し続けた。2011年のちょうど今頃のことである。
占拠者たちがウォール街を選んだのは、金融資本による搾取構造が人々を貧困に落とし込んでいるからだ。
1千万円を超えるスチューデントローンを抱えた学生。10年以上も病院にかかっていない若者。ベトナム・アフガンからの帰還兵…強欲資本の犠牲となった人々がウォール街に集結した。

NY市警のパトカーが張り付き、労働者に圧力を掛け続けた。=2011年11月、ウォール街ズコッティ公園 撮影:田中龍作=
ウォール街ど真ん中のズコッティ公園で開かれた市民集会で聞いた言葉が忘れられない。
高齢の女性はなけなしの力を振り絞るようにして訴えた―
「問題は歳入の問題ではなく、予算の問題だ。公共住宅が減らされ、低所得者層は家を失いホームレスになっている」
「夫は介護が必要なのに、保険もなく、子供たちが支払わなければならない。私たちを殺す気か?立ち上がり世界を変えるべきだ」・・・マムダニ氏の登場を14年も前に予言しているような言葉ではないか。
集会後、有志100人が強欲金融資本の総本山であるゴールドマン・サックスにデモをかけた。うち数十人が玄関に座り込んだ。
NY市警は一人ひとりゴボウ抜きにして逮捕して行った。後ろ手錠にされながらも「我々は99%だ」と叫ぶ男性の姿(写真上段)が、今も田中の目に焼き付いている。

「スチューデントローンに法の裁きを」。暴利を貪る日本の奨学金は米金融資本の手口に学んだのだろうか。=2011年11月、ウォール街ズコッティ公園 撮影:田中龍作=
生活苦にあえぐ庶民の指示を得て急進左派のゾーラン・マムダニ氏がNY市長選挙(4日投開票)で初当選した。
わずか1%の強欲資本に搾取される99%。彼らが14年間燃やし続けた怒りの炎が労働者の市長を誕生させた。
~終わり~
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