アゼルバイジャン軍が19日に開始したナゴルノ・カラバフ地方への攻撃は、カラバフ側(アルメニア人武装勢力)が20日、降伏し、停戦となった。
ナゴルノ・カラバフはアゼルバイジャンとアルメニアの両国が領有を主張して幾度も軍事衝突を繰り広げてきた。
19日夕、アゼルバイジャン軍の攻撃開始を確認すると、田中は反射的に現地取材の準備に取りかかった。機材を点検し、持病の薬が長期間分あるかをチェックした。
だが20日夕方(日本時間)、停戦の報を受け、現地へは赴かないこととした。
戦場取材は一日も早く現場に行くに限る。開戦前から現地に入るのが理想だ。
開戦したら入れない地域が出てくる。決まって要衝の地である。
戦争前、人々の暮らしはどうだったのか。言論の自由はあったのか。これらを自分の目で見、耳で聞いておく必要がある。
戦争ではプロパガンダが飛び交うからだ。プロパガンダに踊らされるのは危険である。避けねばならない。
アルメニアはロシアの同盟国でありながら11日から10日の日程で米国と合同軍事演習を行った。明らかなロシア離れである。
アゼルバイジャンの攻撃は、米軍とアルメニアの合同演習の期間中に起きた。ロシアは2020年晩秋から平和維持軍として駐留していたのにもかかわらず、平和維持部隊の役割を果たせなかったのである。
昨秋、アゼルバイジャンがアルメニアに砲撃を加えたが、この時もロシアは反撃しなかった。同盟国の義務を果たさなかったのだ。
米露の権益が角逐するコーカサス地方で力のバランスが大きく崩れれば、世界はさらに不安定化する。
プロパガンダが猛威を振るわないように世界の現実をしっかりと伝える。この姿勢は次に戦地に行く時まで固く持ち続けたい。
~終わり~
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