1日に77万8千人(2017年)が利用するJR新宿駅は、監視カメラで埋め尽くされていた。南口だけでも切符売り場に2台、改札口に辿り着くまでに2台、改札口前に4台、改札口をくぐるとすぐに3台、エスカレーターでホームに降り着いた所に3台・・・。
カメラは死角がないように設置されている。駅利用者はもれなく捉えられているのだ。サーバー(データベース)に登録された警察提供の「出所者」「指名手配者」「不審者」の顔を、防犯カメラが察知すると、駅の警備員が彼らを追跡すると同時に警察に通報する。
JR東日本の駅構内や車両に取り付けられた監視カメラ8千数百台が顔認証システムとつながっていたことが、9月21日、新聞報道で明らかになった。
顔認証システムは7月、オリンピックのテロ対策として大っぴらに導入された。ところがオリンピックがとっくに終わっているのにもかかわらず稼働しているようだ。
「盗聴法に反対する市民連絡会」は9月、JR東日本に対して質問状を出した。▽個人情報保護委員会にいつ、どのような相談をしたのか?▽顔認証システムとつながったカメラの台数、それらが配備された駅▽不審者のデータベースの出所…などだ(※正確かつ詳細な内容は文末に)
同連絡会によれば、JR東日本は「セキュリティー上、回答は控える」とメールで答えてきたという。JRのサーバーはすでに警察とつながっていると考えるのが妥当だ。
監視カメラは防犯に役立つとの説もあるが、相次ぐ列車内での傷害事件を見れば、まったく役立っていないことが分かる。
この先、各省庁のデータベースとつながれば、列車を利用した乗客の年金、職歴、通院歴などが一網打尽となる。顔は個人情報の宝庫なのである。
JRは私たちにとって欠くことのできない足なのだが、利用するたびにプライバシーが丸裸にされる恐れがある。
※
以下の点について、事実関係を明らかにしてください。
(1) 顔認証システムそのものについて ・いつから検討してきましたか。
・現在の稼動状況(稼動しているカメラ台数、駅などの施設など)
・「顔認証技術により不審者を検知」する場合、検知にはどのようなデー
タベースを利用していますか。また、データベースとの連携の具体的な方
法について説明してください。
(2) 7月6日付「JR東日本ニュース」に「顔認証技術の導入に当たっては、
個人情報保護委員会事務局にも相談の上、法令に則った措置を講じていま
す。」との記載があります。
・いつ、どのような内容の「相談」をし、どのような回答を得たのかを明
らかにしてください。
・「法令に則った措置」の具体的内容を説明してください。
・この他に、顔認証技術の導入の是非やプライバシーの権利など利用者の
権利についてどのような検討がなされましたか。
~終わり~