維新の牙城にあって孤軍奮闘したのが、れいわ新選組の大石あきこだった。人気絶頂期の橋下徹・大阪府知事に「どれだけサービス残業やってると思ってるんですか?」と嚙みついた府職員が、国会議員となり国政の場で維新と対峙する。政治のドラマだ。
維新が猛威をふるう大阪。自民も立憲も共産も今回の選挙で叩き潰された。立憲に至っては党の顔だった辻元清美副代表が、比例復活もできなかったのだ。
初登院後の記者会見(10日)で、大石は「明るいニュースは維新が大躍進した大阪で私が当選したこと」と答えた。
国会正門前では田中に「維新は非正規雇用を推進する。正規が非正規にどんどん置き換えられていき、社会は衰退した。(私は)安定した雇用を維新との対立軸にしたい」と抱負を語った。
大石の当選を知った田中はTwitter上で本人にメッセージを送った。「大石さんのような直言居士が れいわ には必要です。これまで以上に山本代表に 言うべきことを ぶつけて下さい」と。第三者には「大石さんの直言がなくなった時、れいわは終わる」と送った。
10日の記者会見で「この先、山本代表と意見が対立しても『違うことは違う』と言い続ける信念と覚悟はあるか」と質問した。
大石によれば、(初登院前日の9日)初めて打ち合わせがあり、党の運営をめぐって山本代表と早速、意見が対立して嫌な空気になったという。
そのうえで「この社会を最大限早く変えていくにはどうすればよいのか。(党の)体制をめぐって軽く喧嘩になったが、真剣だからこそ、そういうことになる。(自説を)譲らずというか統合して行くことを責任を持ってやってゆきたい」と答えた。
維新に対抗できるのは れいわ だけ、と田中は言ってきた。誇張ではない。昨秋の都構想・住民投票は、山本太郎の活躍がなかったら、可決されていた可能性が極めて高い。
野党第一党をうかがう勢いの維新と戦うことを考えた場合、大石は山本と並ぶシンボルとなる。橋下知事をギャフンと言わせた実績があるのだから。
「そうやな。橋下徹もおらんし、吉村も松井もおらんし。国会では誰に噛みつこうかな」。衆院議員となった大石は新たな闘志を燃やす。
(文中敬称略)
~終わり~