サムライたちが帰ってきた―
特別国会がきょう10日、召集された。初登院してくる新人議員たちに混じって、返り咲きの元議員たちの姿があった。
田中が注目したのは無所属で勝ち上がってきた男たちである。比例復活はない。小選挙区で勝たない限り生き残れない苛酷な状況の中を戦い抜き勝利したのである。彼らは会派「有志の会」を結成し無所属を貫く(10日現在)。
1人は福島伸享(茨城1区)。忘れもしない森友国会で安倍首相の迷答弁を引き出した。後世に残る「ワタクチやワタクチの妻が関与していたら、それはもう総理大臣も国会議員も辞めますよ」(衆院予算委員会、2017年2月17日)である。そのため報復を受け、2017年秋の総選挙で落選の憂き目に遭った。
自民党員、立憲党員、学会員など幅広い層が汗を流して福島の選挙を支えた。きょう国会正門前で福島と会った田中は抱き合ってカムバックを祝福した。
福島の周りには数十人もの地元支持者がいた。彼らは水戸からバスでやって来た。「私一人で当選したんじゃない。(地元の)支持者が送り出してくれた」と言う福島と共に国会議事堂に入構して行った。
もう一人は緒方林太郎(福岡9区)。衆院予算委員会(2016年1月12日)で「安倍総理は拉致を使ってのし上がった男でしょうか?」と真っ向から斬りつけたのである。2017年の総選挙では福島同様、落選した。
拉致被害者家族連絡会の蓮池透・元事務局長は「自分に相談してくれていたら、もっと深い追及ができていたのに」と当時を残念がったが、緒方が今回の選挙で勝ち残ったことには「歓迎します。無所属とは凄い」と賛辞を贈った。
国会正門前で田中は緒方とグータッチし国会復帰を祝福した。緒方は「野党に対する信頼感の欠如。世界の果てで正論を叫んでいる。これは完全に間違っている」「まずは俺たち(有志の会)からやろう。我々は(国会と国民の)ハブになる」と抱負を語った。
落選中、福島は2万世帯を訪ねた。緒方も地元をはいずり回って来たのだろう。有権者が政治をどう見ているのか。政治に何を求めているのか。身をもって知っていた。
2人とも顔は赤銅色に日焼けしていた。髪には白いものが混じっていた。(文中敬称略)
~終わり~