不正にまみれた最高権力者を追い詰めたがために、その報復で議席を失った福島のぶゆき(当時・民進)。今回の選挙では無所属で自民候補と一騎打ちの死闘を繰り広げている。
「ワタクチやワタクチの妻が関与していたら、それはもう総理大臣も国会議員も辞めますよ」(衆院予算委員会、2017年2月17日)。安倍首相の迷答弁から、すべての混乱は始まった。首相のウソと辻褄を合わせるために、財務省は公文書を改竄し、書き換えを実行させられた職員は自死に追い込まれたのである。
この年の秋、安倍は自らの不祥事をウヤムヤにするために衆院を解散した。「モリカケ隠し解散」である。首相の黒歴史を飾る迷答弁を引き出したのが、福島のぶゆきだった。
解散の日、田中は「絶対(国会に)戻って来てね」と言って、福島と両手で握手して別れた。まるで昨日のことのようだ。
安倍の迷答弁を引き出した福島は、落選の憂き目に遭う。創価学会が公示日に水戸で緊急集会を開き、福島征伐を誓い合ったほどだ。
落選から2年後の2019年4月。福島は衆院・大阪12区補選に立った共産党の宮本岳志の応援に入った。森友問題で宮本の爆弾質問は官邸と霞ヶ関を震え上がらせた。
福島の応援演説は大阪の共産党支持者からも大きな拍手を浴びた ― 「私は日本共産党とは真反対の保守なんですよ。皆さんが大嫌いな日本会議にも入っていました。今日私は『逆賊を討つ』その思いでやってまいりました」。
福島は共産党と良好な関係を保ってきた。今年9月の茨城県知事選挙でも共産党系候補の応援演説をした。今回の選挙で、共産党は1区に候補を立てなかったのである。
立憲の公認候補ではない福島は無所属で戦う。小選挙区で自民党候補を破らなければ、比例復活はない。まさしく背水の陣である。
自民を倒すのに右も左もない。逆賊を討つ志あるのみだ。(文中敬称略)
~終わり~