「有権者に電話を掛けると4割くらいが『比例は山本太郎って書くよ』と答えるんですよ」。れいわの選挙ボランティアが困惑した表情で田中に明かした。「山本代表がいまだに東京8区から立つと思っている人も相当いる」とも。
高齢者にこの傾向が強く、Twitter,Facebook,Youtube を見ないのだそうだ。
比例の投票用紙に候補者の個人名を書くと無効になる。それをインテリ層が知らなかったりする。
れいわの選挙情勢は決して楽観を許さない。別のボランティアは「これまでの選挙と比べると聴衆に勢いがない」と顔を曇らす。
コロナの影響もあって街頭演説に足を運ぶ有権者が減っていることもあるだろう。だが、山本太郎が国会に躍り出た2013年の参院選は、今回と全く様相が違った。
幼な子を抱えた母親は目に涙をためて、「原発は要らない」と訴える山本の話に耳を傾けていた。ワーキングプアの青年たちは、山本が非正規労働の改善を唱えると拳を突き上げて「ウォー」と雄叫びを上げた。現場で取材していた田中は鳥肌が立った。
前出のボランティアが指摘する「聴衆に勢いがない」はこのことだ。
一方でマスコミの世論調査は楽観論を助長する。
北関東:れいわは1議席をうかがう勢い。南関東:1議席を確保できそうだ。東京:1議席を確保する勢い。東海:1議席獲得をうかがう。いずれも「うかがう」「勢い」「できそうだ」なのである。
ちなみに自民党候補に対する評価は「●議席を確実にした」だ。
2013年の参院選で、選対の一員だった選挙プランナーは「山本の選挙は危ない」と見る。前回の参院選(2019年)で「れいわ」と書かれた票は26万票しかなかったことを根拠にあげる。東京比例ブロックで当選するには30数万票が必要なのである。
熱狂的なれいわ支持者は、Twitterで山本を神様のように崇めたてるヒマがあったら、リッケンカルトとケンカするエネルギーがあったら、「比例はれいわ」を連呼して回った方がいい。友達、親戚に電話するもよし。ネットだと高齢者に伝わらないから。
(文中敬称略)
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