石原伸晃・自民党元幹事長の街宣はほぼステルスだ。事前告知はない。ツイッターで「これから●●で街宣を行います」と発表される。杉並区(8区)内、それもJR駅前の喫茶店に待機する田中は、ツイッターの発表を見つけると、すぐに現場に飛んで行くのだが、着いた時には街宣は終わっている。
後片づけに追われる現場のスタッフに「次はどこですか?」と尋ねても「分からない」と答える。事務所に問い合わせても「まだ決まっていない」。
初日(19日)の街宣でヤジが飛んだからだろうか。
元幹事長の金城湯池である東京8区(杉並区)で異変が起きている。
重点選挙区や注目の首長選挙で、自民党候補が危うくなると必ず登場するジャーナリストA氏がいる。「勝ち馬に乗れ」。選挙の常道に持って行こうと暗躍するのだ。氏は「俺は麻生派だからな」と公言して憚らない。
A氏はどのように動いたのか。最近の選挙をたどってみる―
《3月、参院広島の再選挙》
A氏は宮口はるこ候補のシングルマザー問題を厳しく追及した。A氏いわく「(宮口は)泣いて車から出てこないんだ」。
「宮口を批判しないアンタ(田中)の記事はおかしい」。氏の追及は田中にも及んだ。締めの決まり文句は「選挙は西田(自民)が勝つんだよ」。
《7月、都議会議員選挙の注目選挙区》
武蔵野市選挙区の野党系候補者本人に「(自民党候補の)土屋が勝ってるからね」。
《8月、横浜市長選挙》
期日前投票で山中竹春候補(野党)が断然リードしていたが、 A氏は「山中(陣営)は動員をかけて行かせてるから、もう伸び切っちゃってるんだ」「投票日に大量に票が入る小此木(自民)が勝つんだよ」と独自の分析をしていた。それを幾度も幾度も田中に吹き込むのである。
結果は上記3選挙とも野党が勝った。A氏が「自民優勢」をことさらに吹聴し、野党候補を貶める時は、自民が決まって負ける。必敗のパターンである。
今衆院選、最大の注目区といわれる東京8区。密室のボス交に地元住民が猛反発し、野党統一候補は吉田はるみ氏となった。
8区の場合、野党が一本化されれば、石原元幹事長と票数でほぼ互角になる。A氏は危機感を覚えたのだろう。15日、野党統一候補の発表会場で吉田氏本人に詰め寄った。「どうして交渉の過程を明らかにしないのか?」と。
吉田氏はボス交の犠牲者なのである。交渉の過程はほんの部分的にしか知らないはずなのに。「この人も密室談合の一員ですよ」と周囲にアピールしたかったのだろう。
A氏のこのところの動きは、明らかに石原元幹事長の選挙が危ういことを示している。
~終わり~