悪政の果てに政権の座を追われた菅前首相。横浜市長選挙で前首相の野望を木っ端みじんに打ち砕いたハマのドンが応援する岡本英子候補(立憲・元)。
衆院選公示日のきょう19日、二人の候補の一騎打ちとなった神奈川2区を取材した。
岡本は09年の衆院選挙で自民党候補を大差で破った経験を持つ。政権交代の熱気を知る候補である。
岡本陣営は横浜市南区の事務所前で出陣式を執り行った。ハマのドンこと藤木幸夫氏が駆け付けた。横浜の選挙を差配する藤木は、8月の市長選では自らが応援する野党候補を圧勝に導いた。菅首相(当時)の推す自民候補を「ゼロ打ち」で破ったのである。
「藤木会長ほどの大物がせっかく来てくれるのだから、出陣式は横浜駅西口でした方が人目に留まっていいのではないか」と進言する運動員もいたが、岡本が「事務所前で」と押し切った。
岡本に理由を聞いた。「ここの方が住民が集まりますから。(横浜駅)西口だとお年寄りには遠いから」と答えた。確かに事務所は住宅地にある。
09年に自公を破った小沢(一郎)流の「川上作戦」を思い出す。地方(川上)を押さえてから都市部(川下)に出て行く、戦術である。地元の有権者を引き付けて、それから大都会の横浜駅西口に出て不特定多数の有権者に訴えようという寸法だ。
09年当時小沢は「辻立ち一日50回」をノルマとした。岡本は一日40回の辻演説をこなした。道路のゴミ収集場所ごとに立ち止まって、有権者に語りかけたのである。「私はその手法しか知らないので、またやると思う」と岡本は静かに闘志を燃やす。
「風がこっちに吹くように頑張るしかない」。淡々とした口調に決意をにじませた。(文中敬称略)
~終わり~