話は2015年5月にさかのぼる。経産省正門前、経産省の敷地とされる場所で事件は起きた。
脱原発の活動家3人が原発反対をアピールしていたところ、警察に建造物侵入の現行犯で逮捕された。
3人とも10日ほど勾留された後、釈放された。起訴されなかったのである。
ところが、一般公開の宗教施設に立ち入ったジャーナリストのケースは捜査当局の対応が180度違った。2018年1月に起きた事件だ。
教団側が被害届を最寄りの警察署に出してから、約5か月後に東京地検はジャーナリストを建造物侵入罪で起訴した。
そして昨日16日、東京地裁は被告のジャーナリストに有罪判決を言い渡した。執行猶予のついた罰金という、極めてまれな有罪判決だった。
東京地検の元検事は検察の事件処理に首をかしげる。「刑事事件として取り上げること自体がおかしい」と言って。
実際、上述したように経産省の敷地内で建造物侵入の容疑で逮捕された男性3人は起訴されなかった。
元検事は続けた—
「警察が送致したとしても起訴猶予相当だ。検察官が訴追裁量権を誤った」
「検察がムチャな起訴をしてきたので執行猶予つきの罰金なんてことになった。検察の主張が否定されたと見るべき。被告人側の勝訴だ」。
6年前、経産省前で「建造物侵入罪」を適用され、逮捕されたものの不起訴となった男性は、今回のジャーナリストの事件を「ひどい弾圧だ」と憤った。
~終わり~
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