沖縄と官邸の間に横たわる深い溝を描写したコラムが地元紙(25日付)に掲載された。執筆者は在京大手通信社の編集委員だ。
コラムは、翁長知事と旧経世会の政治家とのエピソードが核となっている。橋本龍太郎、小渕恵三元首相や梶山静六、野中広務元官房長官が沖縄に心を砕いていた・・・と。
田中は当該のコラムを読んだ後で気づいたのだが、内容が翁長知事の著作『戦う民意』(角川書店)とほとんど全く同じなのである。
10パラグラフ(段落)から成るコラムのうち感想や解説を除いたファクト(事実)は、9パラグラフ。これら9つはすべて翁長知事が著作で述べていることと同じだ。丸写しと言っているのではない。内容が同じなのである。
翁長知事が著作で「かつての政治家とは対話ができた」と述懐しているところを、在京大手通信社の編集委員は「翁長知事は対話ができる政治家がいなくなったと嘆いた」と表現している。
「浜崎あゆみの歌詞は中島みゆきのフレーズを上手に入れ替えているだけ」との指摘がある。それを思い起こす。
翁長知事が振り返る沖縄政治と、ベテラン記者が振り返る官邸の沖縄政策が同じであっても不思議ではない。パクリではないと信じたい。読書感想文であるなら、「戦う民意を読んで」と記すべきだ。
役所の記者会見であれば、各社同じ記事内容になっても仕方ないが、編集委員執筆のコラムが知事の著作とほとんど同じ内容というのは、首を傾げざるを得ない。購読料を取る以上オリジナリティーが必要不可欠となるからだ。踏み込んで言えば、沖縄の読者に対する冒涜ではないだろうか。
ちなみに翁長雄志著『戦う民意』の初版は2015年12月15日。コラムは2018年8月25日掲載だ。
~終わり~