「世界一企業が動きやすい国」を目指す安倍政権。その屋台骨を担う制度改正が着々と進んでいる。労働者派遣法の改正(改悪)だ。安倍内閣は早ければこの秋の臨時国会で成立を目指す。
法改正(改悪)の核心は「3年規制の撤廃」だ―
現在、企業が派遣労働者を「同一業務」で使用することは3年以内に限られている。
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ところが改正(予定)案では、人を変えれば無期限に派遣労働者を使用できるのである。
現行法では「同一業務」の縛りをかけているため、派遣労働者AさんをBさんに置き換えることは禁じられている。だが改正(予定)案では、Aさんが3年を経過したらBさんに、Bさんが3年を経過したらCさんにと、企業は未来永劫に派遣労働者を使うことができるのである。
雇用の調整弁として正社員では補えない部分を補う。これが派遣だった。ところが派遣法が狙い通りに改正されれば、派遣労働者が正社員にとって代わることになる。いつ切られるか分からない不安定な働き方を強いられる派遣社員だらけの世の中になる。
労働者派遣法はいくらでも抜け穴のあったザル法だったが、ザルですらなくなったのである。
総務省の労働力調査(2013年4~6月)によると、正規労働者は前年同期に比べ53万人減少。一方非正規労働者は106万人増加した。安倍首相は「雇用が増えた」と豪語しているが、まやかしである。正規労働者は減り、不安定な非正規労働者が100万人以上も増えているのだ。
全労働者の36%にあたる1,881万人を非正規労働者が占める(総務省同調査)。彼らの74%は年収200万円以下で暮らす(厚労省調査2011年)。非正規労働者の4分の3はワーキングプアなのである。
きょう、非正規労働者のユニオンや全労連が厚労省前で派遣法の改正(改悪)に抗議する集会を開いた。眼前にそびえ立つビルの中では、折しも労働政策審議会が開かれていた。
派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「派遣労働者が安心して働ける労働法制にして下さい」と訴えた。
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読者の皆様。先週中盤からギックリ腰のため取材執筆を休んでおりましたが、本日から現場に復帰致しました。御心配おかけしまして申し訳ございませんでした。これからもご指導賜りますよう宜しくお願い申しあげます。