「戦争法制」の影でもう一つの恐ろしい法案の審議が進んでいる。労働者派遣法の改悪だ。
改悪派遣法の2大特徴は―
3年ごとに人を変えさえすれば、その業務を永久に派遣労働者で賄える。一方、これまで比較的安定した長期雇用契約を結んでいた専門26業種(※)の派遣労働者は3年で切られる。
生涯派遣法といわれるゆえんだ。一生、不安定な働き方をしなければならない。当然、賃金は安く収入は正社員の3分の1だ。
女性は全非正規労働者の7割以上を占める(総務省・2012年)。彼女たちにとって労働者派遣法の改悪は死活問題である。
女性の派遣労働者たちが、今夕、女性の野党議員に「改悪・労働者派遣法」の廃案を求める要請書を手渡した。(主催:派遣向上フォーラム)
派遣向上フォーラムの宇山洋美・代表(56歳)は、15年間、同一の派遣先で専門職として働いてきた。派遣先の企業は派遣法案の可決成立を見越しているのか、彼女に「次の契約更新はない」と告げたという。
「賞与(ボーナス)はなし、交通費もなし、退職金もなし。正社員の半分以下の給料。派遣の問題は女性の問題だ。
どうして今の派遣法ができたのか、どうして止めてくれなかったのか、と次世代に言われる。負の財産を次世代に残さないために食い止めたい」。宇山さんは血を吐くようにして訴えた。
「改悪・労働者派遣法案」は先月衆議院で強行採決され、現在参議院で審議中だ。
現行法のままだと10月1日に「みなし制度」が施行され、経営者は3年を超えた派遣労働者に対して直接雇用を申し入れなくてはならなくなる。
このため経団連はじめ経済団体は、8月中にも「改悪法案」を通そうと血まなこだ。
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