恐怖の2択迫るインボイス 「生活できなくなる」or「仕事が来なくなる」

労働組合が動員を掛けたわけではない。参加者で一杯になったのは危機感の表れだ。=25日、官邸前 撮影:田中龍作=

 これほど過酷な重税があるだろうか。年商1千万円以下の個人事業者に課税する「インボイス制度」である。

 酷税の実施が1週間後(10月1日)に迫ったきょう25日、首相官邸周辺でインボイスに反対する集会があった。参加者は官邸前だけで収まりきれず衆院会館前、参院会館前まで一杯になった。

 インボイスは零細で食うや食わずの個人事業主に恐怖の二択を突き付ける。取引している会社に「課税事業者登録」をしなければ、仕事が来なくなる。

 かといって登録すれば本来のギャラから10%さっ引かれる。

 年収約200万円のフリーライター(女性)に話を聞いた。彼女は取引相手と契約(課税事業者登録)すれば年収は180万円になる。

 「収入がこれ以上減ったら生活していけなくなるので登録はしない」「(政府は私たちを)殺しに来ている」。彼女はまなじりを決しながら語った。

たがや亮議員(れいわ)。「マスコミの皆さんはインボイス制度をもっときちんと報道して下さい」と訴えた。=25日、官邸前 撮影:田中龍作=

 ウーバーイーツの配達員(男性)も登録していない。マイクを握った男性は「インボイスはガチで死活問題。必死なんですよ岸田首相」と訴えた。血を吐くような叫びにも聞こえた。

 52万筆のインボイス反対署名が集まったが、岸田首相は受け取りを拒否したと伝えられる。政府は予定通りインボイスを実施する構えだ。

 個人事業主登録せずに仕事が来なくなるか、それとも安いギャラから10%さっ引かれるか。 

 どちらにしても地獄が待つ。

 家賃を払えなくなって路上に出たり、食えなくなって餓死したりする個人事業者が出ないことを祈るのみだ。


ウーバーイーツの配達員は「インボイスはガチで死活問題」と訴えた。=25日、首相官邸前 撮影:田中龍作=

  ~終わり~

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