東池袋公園でNPO法人TENOHASIによる食料配布があった。きょうも配布開始時刻より1~2時間前から長蛇の列ができた。先頭は午後3時半ごろから来ている。
用意していた530食は35分間ではけ、弁当にありつけなかった28人には食事券が配布された。
列の中に34歳の青年がいた。メーカー勤務の正社員である。手取り収入は月17万円。家賃や光熱費を払うと手元に残る現金はごく僅かだ。
高校を卒業してからずっとこの会社に勤めている。勤続16年ともなればもっと給料をもらっていいはずだ。
やりくりは「食費から削っていく」のだそうだ。「朝食は食べないのが当たり前」。男性は淡々と語った。
東池袋公園の他、都庁下の食料配布にも並ぶ。
会場の一角に祭壇が設えられた。この3年間、食料配布などでTENOHASIと関わりのあった生活困窮者16名が弔われた。
氏名不詳の故人は路上やネカフェ生活者だった。16名を一人ひとり指で追い、両手を合わせて深々と黙とうを捧げる年配の男性がいた。
「知った方がいらっしゃるのですか?」と田中が尋ねると「いなかった」と答えた。複雑な気持ちが表情に表れていた。
男性は決して安心した訳ではない。知人は無縁仏になっている可能性があるからだ。
小綺麗な服装で頭もサッパリと散髪している。ワンルームマンション、アパート、都営住宅に暮らしながら食料配布の列に並ぶ。
勤労意欲もスキルもありながら政策の間違いで食えなくなった人々だ。21世紀日本の生活困窮者である。
「(権力者は庶民を)殺しにかかっている」と言われ始めて久しい。
転職もせずに一所懸命働いても食べることも満足にできない。当然、結婚なんて夢のまた夢だ。親は先に死ぬので、無縁仏になる可能性が高い。
祭壇に氏名が載るのか、氏名不詳となるのか。
~終わり~
◇
【読者の皆様】
田中龍作ジャーナルの財政が危うくなっております。
読者お一人お一人のカンパに支えられながら13年間続いてきました。
どうか田中龍作に独自取材を続けさせてください。
よろしくお願い申し上げます。 ↓