新聞テレビで「流れ」を作ってしまったら、何だってできる・・・スガ首相が、大企業の非正規労働者にも休業支援金の支給を拡大する、と当事者たちを騙した件だ。もちろん国民もコロっと騙された。
詐欺の手口を明らかにするために、この10日間をさっと振り返ってみる。
1月29日に非正規労働者が官邸を訪ねてスガ首相や田村憲久厚労相に直談判した。「(第1次)緊急事態宣言が出た去年4月からの補償を」と。
首相は4日、衆院予算委員会で「大企業でも休業手当を受け取りづらい方について休業支援金の対象にすることとし、検討を進めさせている」「早急に具体的な対応をとりまとめさせたい」と答弁した。
『大企業の非正規も休業支援金の対象に』-新聞は一面で、テレビニュースは早いオーダーで大きく取り上げた。
ところが、「看板に偽りあり」とはこのことだった。フタを開けてみると、休業支援の対象期間は今年1月8日からなのである。
大企業の非正規労働者たちはコロナが流行し始めた去年2月頃からシフトが減り、第1次緊急事態宣言の出た4月からはシフトが無くなったりしたのだ。
大企業は正規労働者には休業手当を支給するが、まるで狙いすましたように、シフト制の非正規労働者には払わない。大きな社会問題となっている。
支給の対象が1月8日からと明らかになった5日、立憲民主党が厚労省から事情を聴いた。
大手飲食チェーン店に勤務するシフト制労働者(女性)は、声を詰まらせながら厚労官僚に訴えた。「4月からの支給を求めてきたのに、そこの話はまったくなくて悲しい」。
女性の涙の訴えをマスコミ各社は聞いていた。テレビカメラも入っていた。
この日、夕方7時のNHKニュースを見て唖然とした。女性が喜んでいるかのようなインタビューとなっているのだ。女性は実質ゼロ回答に悲しみ憤っていたのだ。
NHKニュースを見た女性は田中に「アレッと思った。ホントに言いたかったことは切られていた」と話す。
きょう8日も、衆院予算委員会でこの問題が取り上げられた。
立憲民主党の山井和則議員は、「経済的な事情で女性の自殺者が増えている」として、スガ首相に「(昨年)4月にさかのぼっての給付を」と求めた。
首相は「厚労省に検討させている」とかわした。
世論が野党議員の背中を押そうにも、新聞テレビは「1月8日からでも支給は支給」としている。
スガ政権のプロパガンダを成功させてはならない。
~終わり~
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