スガ総理もグルだったのか。それとも厚労省がスガ総理の無知につけ込んだのか。大企業の非正規労働者は一夜にして奈落の底に突き落とされた。
大企業で働くパートタイマーなどの非正規労働者は、野村総研の推計で90万人(女性のみ)。男性も含めるとゆうに100万人を超える。
コロナ禍で仕事が激減した彼らに休業手当が支給されないことは大きな社会問題となっており、昨日(4日)、衆院予算委員会でも取り上げられた。
非正規労働者が官邸を訪れて直談判したこともあり、スガ総理は「大企業でも休業手当を受け取りづらい方について休業支援金の対象にすることとし、検討を進めさせている」「早急に具体的な対応をとりまとめさせたい」と答弁した。
NHKと民放は昨日(4日)夜のテレビニュースで、全国紙はきょう(5日)の朝刊で大きく取り上げた。
ところが、きょう(5日)になって厚労省は、腰を抜かすような発表をした。大企業で働く非正規労働者への休業支援の対象は、第2次緊急事態宣言が発出された『今年1月8日から』としたのである。
大企業の非正規労働者はコロナが流行し始めた去年2月頃からシフトを減らされるようになり、4月に第1次緊急事態宣言が出ると、仕事はほとんどなくなった。
この間、野党や非正規労働者たちが政府に求めてきたのは、コロナの影響で収入を大きく減らした去年4月からの休業支援金なのだ。
それが今年の「1月8日から」とは。非正規労働者は詐欺に遭ったに等しい。
立憲民主党が事態を受け、きょう午後、厚労省に事情を聴いた。
ヒアリングに先立ち飲食店ユニオンの尾林哲矢さんが窮状を訴えた。「大企業も休業支援金の適用になるとニュースを見て喜んだんですけど、1月8日からに限られるということで、非常に残念です。こういった突き落とすような対応というのは非常にひどいのではないか」。
立憲の石橋みちひろ厚労部会副部会長が「なぜ1月8日からなのか? 誰が決めたのか? スガ総理の指示なのか? 田村厚労大臣が決めたのか?」と追及した。
厚労省職業安定局・雇用保険課の佐藤悦子調査官は次のように答えた。「緊急事態宣言を受けて対策を強化するという観点で」「総理の指示を受け大臣とも相談して決めた」。
厚労省の狡猾さは、対象となる労働者を事実上ゼロに絞り込んでいることだ。「事業主が休業させ」との条件を付けているのである。
去年からシフトが無くなっている労働者について、大企業が「休業を命じた」などと認めるはずがない。
厚労行政に詳しい議員たちは「対象者はほぼゼロ」と指摘する。
スガ首相と厚労省の仕業はこうだ―
餓死寸前の人に「食事を提供しますよ」と言っておいて、出したのはお盆だけだった。
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