2014年は労働者にとってこれまでにない試練の年になりそうだ。元派遣労働者や労働組合専従者がきょう、銀座の歩行者天国で「雇用を守ろう」とアピールした。
労働者派遣法の改正(改悪)を厚労省が決めたことを受け、安倍内閣は年明けの通常国会に改正法案を提出する。
これまで派遣の期限は「同一業務3年」だったが、労働者派遣法が改正(改悪)されると「働き手さえ変えれば無期限」となる。
正社員と比べたら安価で使い捨てにできる派遣労働者を、経営者はいつまでも抱えることができるのだ。こんな有難い話はない。派遣ユニオンの関根秀一郎書記長は「派遣が急拡大するおそれがある」と警告する。
業務が無期限で派遣労働に置き換えられれば、正社員は職場を奪われる。「俺は社員、オマエは派遣」などと威張っていられなくなるのである。
銀座で街頭宣伝したのは、メーカーや印刷会社などの労働者。派遣切りに遭い裁判闘争を闘っている人や労働組合専従者など約50人が道行く人に現状を訴えた。
「派遣法が改悪されたら企業は大事な部署だけ正社員にして、あとは全部派遣にするだろうね」。メーカーの労働組合専従者は危機感も露わに話した。
リーマンショック(2008年秋)の際、資生堂の工場で派遣切りに遭った女性(50歳)は「(これから)どんどん使い捨ての労働者が増える」と顔を曇らせる。アルバイトで生計を立ててきたが、状況は厳しくなるばかりだ―
「最近の求人募集は最低賃金スレスレが目立つようになった。特別な資格がなければ仕事を見つけるのはとても難しい」。彼女は顔をしかめた。
「解雇されたら正規も非正規もありません。自分の人生設計が狂ってしまいます」。34年間正社員として務めた日本航空を2010年に解雇された客室乗務員(58歳)は語る。
正社員だからと言って安穏としていられない。派遣法改正(改悪)を経団連が歓迎していることから派遣は増え、正社員はこれまでの派遣労働者のように簡単に切られるようになる。
安倍首相が目指す「世界一企業が活動しやすい国」は「世界一労働者にとって厳しい国」となるのだろうか。
《文・田中龍作 / 諏訪都》